1996年11月のまるちめ日記(96.11.01〜96.11.30)

96.11.01(金)
雨。散歩後ぱぐちょの肉球が膨らんでるように感じるが、単にこゆものなのだろうか? 眼科後WAD'Sでポストカード「視力表」納品。タワレコでブーレーズ「RITUAL/ECLAT/MULTIPLE」等。大中でぱぐちょとの戦闘用に牛のなべつかみ。タイガーメンテ。イラストレーション誌の連載文章全然書き終わらず。

96.11.02(土)
雨。4時半頃起き、イラストレーション誌連載は結局今回も章を二回に分けることにする。本当は名古屋の「不可視関数試論」の仕事にかこつけてクリックの話に今回持っていきたかったのだが、その際前提となる「失敗してきた総合芸術」の話は、やっぱ通り一辺で済ますわけにはいかなかった。すなわち「第13章マルチメディアアートの可能性と不可能性(前半)」としたものを、ビジュアルもつけてQuark段階まで完成し、Nifty入稿したのが21時。出張していたもとみや帰ってくる。

96.11.03(日)
文化の日。雨。朝4時起きし、やっと「不可視」再開。ずっと考えていた「直前のキャストを変えていく動詞機能」とゆ課題をキャストペーストの方法によりいったん解決。その後その方法だと厳密な「直前の変形」には程遠いことがわかり、スプライト入れ替えの方法へと切り替える。この課題の解決に夕方までかかってしまったが、プログラム解決時の心地よさは10年くらい前に純粋絵画を描いてた頃の、画面上の諸問題が解決したときの感覚に似る。石川翠氏よりTELあり、松澤宥関係の雑誌を作ろうとのことでタワシはアドヴァイザー役を引き受けることとなる。氏はタワシについての評論も書いてくれようとしているとのことで、それは有り難い。「不可視」引き続き細かい課題解決。第1面のボタン24個分はなんとか夜3時までかかって作り上げる。

96.11.04(月)
振替休日。やっといい天気となる。ぱぐちょ散歩も紅葉のフラクタルの中。ぱぐちょが電柱でhis own workをしている間暇なタワシは目の前の自然のフラクタルの事ばかり考えてるのだ最近。デジネンのフラクタルで早いとこ自然を作らねば。「不可視」ではタイムアウト時間の管理とゆ課題に取り組み始める。すなわち公共の場に設置するインタラクティブ作品なので、放置された場合に画面焼き付き防止のためアフターダーク的画面とならなければならないのだ。日展の栗原氏より、こちらが借りているPowerMac7500を早急に返却してほしいとのこと。まだ8500でしか動作確認してなかったので、7500でちゃんと動作するかの確認に手間取る。2台のモニタのコンパネ上の位置を、デフォルトどおりへと変更。デフォルトどおりだとマウスではカーソルが迷子になる危険があるが、会場ではタッチパネルなので大丈夫だろう。渋谷君がもとみや仕事で来アロ。朝4時まで仕事。

96.11.05(火)
明日名古屋必着で7500送るには、今日の14時頃までに佐川急便かと思ってたら18時過ぎでも間に合うらしい。よかった。これでインストールして同梱する「不可視」ソフトの方も、ちょっと体裁が整えやすくなる。朝会議ではもう一台PowerMac買うこととする。ずっと「不可視」タイムアウト関係の課題。つまりいろんなコマンドが多く錯綜しており、それを論理的に動かすにはどこで処理を待たせるか等といった問題。不満もあるが一通りなんとかなったのが17時頃。それから慌てて画面を1面だけでなく5面まで表示するなどの作業をやっている間に、またも死すエラ。死すエラしょっちゅうなので気を使っていたつもりだったが、つい作業がはかどったときに限ってセーブし忘れてるってマーフィー? 18時過ぎに佐川頼んだらすぐ来てくれて慌てて梱包発送。やっと一段落。その後つかのと、MIZUMA ART GALLERYでの会田誠氏の展覧会オープニング。車中で、自然を見てると何でもフラクタルに見えてしまうとゆ話をしたら、それは本によればフラクタル病と言うんだそーな。会田氏個展はいい絵が沢山。旧作だが、なぜかMIZUMAの壁にピッタリサイズ。弦人氏、パルコ氏らに会う。弦人氏によるとロスは文化的に今一つらしく、たとえばこんな会田君みたいな個展は絶対ないだろう。だがプログラミングの環境としてはいいはずだ。ちなみに現在C++入門という本で勉強中だが、ところでC++って、そんな入門したりするようなものなのか?……と相変わらずお元気。会場に山口ハルミ氏がいらっしゃるなぁと思ってたら向こうから声をかけて下さり、MIZUMAは散歩コースとのこと。氏はここのとこリースで借りたマックにかなりはまってるらしく、クラリスワークスのペイント機能で絵を沢山描いてるそうな。まだ仕事になってはいないがとても楽しいとのこと。お話しするのは初めてでしたがとても素敵なお人柄でした。帰りの車内のラジオでは、放送大学で日本語の成り立ち講座をやっている。いろは唄、あめつちほしそら、えのえをなれゐて。「不可視」や「逃網」におおいに関係するタワシが今一番興味を持ってるあたりの重要話題。帰社後松信よりTELあり、とうとう彼は自作のアンプの量産に入ったとのこと。マックドローとエクセルをアンプの設計に利用しているとのことで、マックドローは部品パーツの大きさをいちいち計らずに済み超便利であり、エクセルはパラメータの設定変更シミュレーションに超便利とのこと。なおほんとは今日か明日だったはずの名古屋参りは、今週末へと延期してもらったのでした。

96.11.06(水)
今回のイラストネタのアサパソ荻窪圭氏の文章がデータベースの話で、昨日の松信の話と合わせて、データベース型作品の構想を思い付く。要するに「不可視関数」とゆこと。しかしこんな風に、どんどん作品を思い付いてしまうのに人にアピールすべき代表作がないというこの状況はなんとかならんか>タワシ。アスク本田氏よりTELあり先月のマルチメグランプリ関係はやはりダメだった様子。けど「ハイパーカード以来の感激」と言ってくれたデルソさんがフランスで記事を書いてくださるそうでメルシー。まえだが、佐谷画廊のDMに使用されてる森村泰昌氏初期のゴッホの自画像の絵の中に、ぱぐちょのパーツを発見。「不可視」では、アフターダークモードからの復帰時のアクションにてこずる。どうしてもpuppetTransitionを途中でabortできないのだ。しかもアプリケーションレベルだとできるのにプロジェクタだとできない。これは、abort関数を書くのではなくたんにpuppetTransition処理を早く済ますとゆことでごまかすことにする。「不可視」でよふかし完徹。

96.11.07(木)
完全徹夜久々、意識朦朧。アフターダーク部分の次なる「不可視」の課題は個々のボタンを120個(5面なので24X5=120個)まで増やすことのはずだが、どうしてもボタン作りなどの単純作業より、プログラミング自体の課題を解決していることの方が楽しい。ってわけで、「再現」機能のプログラミング。すなわちボタンを押していった順とその都度ランダムに選ばれていったヴィジュアルが、1つの数字列に置換されムーヴィーのように再生できるとゆ機能。ただし動画ではなくあくまで静止画を描く装置であることを強調するため、「再生」ではなく「再現」という言葉を使う。夜一瞬仮眠後、やっと新ボタンの増産に着手。

96.11.08(金)
眼科後「不可視」アラートメッセージ入れ等。つまり素早いマウスクリックにはどうしても「再現」機能が付いていけないため、プログラムエラーが起きる前にアラートを出す。TEMAEから3桁、MUKOUから4桁の数字列を小さく表示することとしたため、実は「不可視関数」ではなく「可視関数」である。明日名古屋行きなのでとても大変。だいぶLINGOのことがわかって来て、過去に書いたLINGOを「こうすればもっとスッキリする」などと書き直しの連続。

96.11.09(土)
睡眠削って仕事してるが、どうしてもボタン付け作業が2面まで終わらない。昼になってしまい日展栗原氏に電話したら、では今日はやめて明朝でいいですとのこと。よかった。夕方より2面のサウンドに着手。23時就寝。

96.11.10(日)
3時に起き、サウンドの続きの作業は6時頃完了。その後ボタンへの割り当て作業。どうも動きが遅いので、MUKOU のスコアフレームのすべてのマーカーの後に、一個空白の間を設ける等姑息な作業。これでなんとか2面までボタン48個を組み込んだ新バージョンを持参できる。経堂を出るのが11時過ぎとなってしまい、12:07東京発の「ひかり」で名古屋へ。今日は曇ってて厚着をしたのが裏目に出て暑い。Tシャツで十分。名古屋では、たよりない地図を頼りになんとか会場にたどり着く。ふーん、「NADIYA PARK」っていうのか。だいぶ以前にいただいていた資料にちゃんと書いてあったが、いざとならないと頭に入ってこないとゆ困った頭脳。聞いていたように、回りには確かに三越だのパルコだのある市の中心地。「NADIYA PARK 12月1日オープン記念」と書かれた垂れ幕が商店街に張られている。下の方の階は聞いていたようにLOFT等の店舗が入る様子。中間の階がデザインセンターで、作品の設置される名古屋市青少年文化センターはこのビルの7・8Fだ。それにしても上の方の階まである巨大空間の吹き抜けがスンゴイ。アメリカ人の設計とのこと。まだまだ作業中の建物の中を7Fまで上がって、カーテン裏からいきなり出たところに「不可視」のセットがあった。なるほどこんなものか。こうやって見ると小さい。しかしちゃんと不自然なくできてるではないか。心配していた「電光掲示板が大きすぎたのでは」などといった問題もまるでなく、よくまとまっている。他の恒久展示作家の伊藤ガビンさんやうるまさんらは、すでに名古屋に泊まりがけで作業中。たったフロッピ2枚分の新バージョンのデータをインストールし、すぐにガビン氏が触ってみてくれる。30秒もしないうちにこの作品の本質的なところをさらりと抽出してくれる。つまりどんな絵が出てこようとも、出てくる画面は中ザワヒデキの絵になってるとの感想を持たれたようで、しかしこのくらいがちょうどいいのではないかとゆーこと。すなわち作家としてはいろいろやっていくとそのうちシステムを全部他人に委ねたくなるが、しかし委ね過ぎ解放しすぎちゃっても面白くなくなることも多いのだ。俳句ジェネレーターで毎週自動生成俳句が送られて来るが、それ見ていても母集団数が増えすぎてつまらなくなったりするし。あるいは藤幡正樹さんのアルゴリズミック・ビューティーにしたって、藤幡さんの頭の中にある想像力の範囲内のはずで、すなわち藤幡氏の個人的個性的主観的作品なわけなのだ、等々。「不可視」の「再現」機能については、つまりこれはピカソの「ゲルニカ」ができるまでの記録写真みたいなことですねと。また「デジネン、その後どうなりました?」って話も出て、「しかし立体プリンタがないと……」と話したらすぐ「積み上げるタイプのですか」と反応。まったく、いつもそうだが、ガビン氏は一瞬にして本質を見抜いちゃうので舌を巻く。その後、フロア担当のお姉さん達や市の職員さん達に作品の説明をするため博報堂の方を初めとするご一行が巡回してやってきたので、作品「不可視」についていろいろ解説。思ったよりみな興味深げにタワシの説明を聞いてくれる。「選ばれている言葉の意味は?」という質問があったので、「実は言葉は単に恣意的にボタンに割り当てただけであり、さらに言えば言葉とヴィジュアルの間にも関連性があるわけでは実は無い。つまり本当のことを言うと意味はない。これって一応説明すれば今世紀初頭のソシュールらの記号論みたいなことで、すなわち犬を『犬』と呼ぶ必然性は全然無いじゃないか、とゆーことと同じである。さらに言えば同じく今世紀初頭の数学者ヒルベルトの形式主義やゲーデルの暗号法ってわけで、要するに言葉はさらに数に対応させたっていいわけなのだ。事実この装置では言葉ボタンは3桁の数字として、1つの言葉に対し3パターンランダムに出てくるビジュアルは4桁の数字として、管理されている。そしてそこまで読みとってくれる鑑賞者のための作者からのヒントとして、ここにあるようにTEMAEの画面内にとても小さく数字列が表示されるようになっている。しかも言葉を連続して押して1個の文章とすると、その数字列が長い桁数の1個の数で表される。すなわちここに表示された最終的ビジュアルが、1個の数で名付けられ呼ばれ対応させられてるとゆーわけだ。そこの対応関係のことを関数というわけだが、その関数自体にはこのように意味がないわけで、すなわちその関数の構造をわれわれは見ることができない。だから『不可視関数』と名付けているわけだが、同時に数自体は見えているわけでもあるから、『可視関数』でもある。このように世の中すべての事象は言葉、すなわち数に対応させることができ(ポケベルとかで数字で50音を表現するのもあるでしょ)、つまりはギリシャ時代のピュタゴラスの『万物は数である』ってゆーよーなことなわけなのだ」等々いろいろ喋る。
 その後設計工場の高橋さんに案内されて8Fを見学。青少年が自由に利用できるパソコンや、AV機器のフロアーで、置かれている椅子もテーブルもとってもセンスが良く、フロアーに足を踏み入れただけで心が浮き立つ。地方自治体の施設なのではっきり言って全然期待してなかったのだが、こんなにいいセンスの場所になるとは、名古屋の青少年がマジでうまらやしい。もちろん全部設計工場さんの設計。ここで扱えるソフトにはデジネンも入るとのこと。一角には茶室仕立ての和風大型ビデオプロジェクタルームもあって、ここも溜息が出るほどいいスペース。「不可視」の残りのデータはアロアロでなくここで作ろうかしらん? その他、マック画面がそのまま地図の中を移動してって場所を指し示すプロッターなど、なかなかスンゴイものがあるが、高橋氏は「まさかこんな変なものは作れないだろうなと思ってるようなものも、プランが通っちゃうとできてくるんで、面白いですね」とたんたんと語られる。アーティストというスタンスではないものの、高橋氏はたとえばこのように地方自治体などという機関をそのまま自らのアイディアのプリンタとして活用されてるのかもしれない、なかなか面白い人のようだ。
 もう一度「体験の場」の7Fに戻り、その中の他の人の作品を見せてもらう。まずガビンさんはPiPPiNを42台つなげるとゆ過剰なシステムを作っていて、でもまだ全然作動してなくて大変そうな様子。具体的にはモニタを42台床に敷き詰め、その上に圧力感知ガラスを置き、回りからは沢山の光センサーで常時監視状態にして、その上を複数人が歩き回ると何か起こるとゆ作品となるとのこと。複数人がそのままマルチカーソルとなるとゆことらしい。本当は密室で一点からカメラで人を補足するようなプログラムの方が好きなのだが、このフロアは回りからいろいろ光が入ってきたりするのでしょうがなく、沢山の光センサーをこのように使ってるとのこと。つまりはオブジェクト図形方式にしたかったのだけど諸事情でビットマップにしたとゆーことだ。このかなり低解像度なビットマップとゆー事態に内心驚く。うるまでるびさんのとこは、うるまさん以外にプログラミングを担当していた五十嵐さんもいらしたが、一室でプリクラよろしくお客さんの顔のデータをスキャンして、すると劇場とゆスペースの方で、その顔がうるまでるび作アニメーションの中で大活躍するとゆもの。音楽は山口優氏。こちらもスキャン取込あたりで苦心してる様子。アニメの中ではトンネルを顔が通り抜けたりするところが大変そうでスリリング。劇場の椅子も大変楽しげないろんなデザインチェアやソファが自由にゴロゴロと。他には、もうすべて完成していたのが八谷和彦氏の「視聴覚交換マシン」。これは有名な旧作ですね。それから岩井俊雄氏の「映像装置としてのピアノ」。これは実物を見て体験したのは今回が初めて。まだ光が上に走って行くところが仕上がってない段階。マウスで動かす手描きがそのまま楽音となるサマは、原理的には「キッズボックス」内のオルゴール群と変わらず、また楽譜表示と音響の点では、ナンカロウの自動ピアノと似るだろう。しかしさすが岩井氏ならではのインターフェースの美しさでハマレる。楽器ってそもそも最もインタラクティブ度の高い装置だし。ほかには特に作家名のない(つまり設計工場さんが考案して作った)体験装置として、「タクタイルロード」とゆ真っ暗闇のダクトの中に体ごと入って進んでいくものがある。早速体験。いろんな感触があってすごく面白い。ちょっと養老天命反転地の真っ暗闇の間に似ている新しい体験。入口のところでチラリと、赤外線カメラでモニタされている中の迷路の状態を見てなかったら、恐怖がもっとあったかもしれない。出てきて「養老天命反転地をちょっと思い出した」と言うと、「あれは私も行きましたがその時思いっきり頭を壁にぶつけましてね〜、悪意があると思うんですけど、これは悪意のないかわいいもんですから」と高橋氏のたまう。結局一番生理や感覚に訴えるのはこのタクタイルロードだったのではないか。
 初めてお会いする博報堂の笠原氏といろいろお話しする。氏はタワシの資料集めるときSTORE DAYSでアロアロ商品見つけかなり買ったのだという。日展の栗原氏や山本氏と筐体の回りに施す装飾のことで相談。結局26日頃にここにタワシがも一度来て、タワシ自らアクリル絵の具で塗装することとなった。あらためて「不可視」いろいろ検討し、位置を調整してもらったり、そばに椅子を置いてもらったり等する。フロア担当のお姉さん方がまたいらして、さっきの話はとても面白かった、すべてが数字で表せるというのは神秘的な気がする、実はこの作品は昨日まで随分遊んだのだなどとお話しする。市の職員の別の方も見えて「自分がぷにゅぷにゅとしてるので『ぷにゅぷにゅと』が好きだ」などと言いつつ楽しんでおられる。開館したら家族連れて遊び来ますよと。電光掲示板の電飾文字は予想していたほどうるさくなくちょうどいいかんじで、電光掲示板関係のLINGOで勝手に書き換えたところもちゃんと動作しており、全体として、心配してたより万事うまく行ってるようで、ちょっと気が楽に。明日の名古屋市長の内覧、13日の名古屋方面記者発表はとりあえずこのままの形でお見せできるでしょう。「ひかり」で帰社。

96.11.11(月)
前々から予告されていたことだがついに小田急線拡張にともなう石仏公園の工事始まってしまう。ぱぐちょの朝の散歩道が! ヘアライヴのあのロケ場所が! 空き地の雑草のフラクタルが! つかのに秋葉原まで行ってもらい、PowerMac7600、MAX、230MOを2台、買い物してもらう。タイガーメンテ。「不可視」は昨日持参した分が、以前のものより反応速度が鈍ってしまっているので、速度アップを目的としてのLINGOの見直し。

96.11.12(火)
「不可視」速度アップのための膨大直し。プール。

96.11.13(水)
ぱぐちょはもう各電柱に普通にOできる。昼にはかなり「不可視」速度アップ。「不可視」の240字サマリー(forパンフ等)を、博報堂笠原氏宛FAX。電気屋さんに来てもらい乾燥機のゴムベルトを交換してもらう。音飛びのひどいタワシのCDプレイヤーは、交換に2万円はかかり、しかもこれはクリーナーのかからない旧タイプのものだと言われる。しゅーん。どおりでいくらクリーニングしても音飛び直らなかったわけだ。ミラノの時計屋より先月の仕事の見本品が届く。

96.11.14(木)
今日はタイガーの先見ゼミで黒ペソ先生出題の日。妻の馳せて禹家時乗れ毛貴誌。前々から暖めていた「自動書記ーボード問題」。氏吉舎祖も日レスかれは瀬に。つまり自由にキーボードを叩いてみましょうとゆ出題。津としれ等とは間ノラ例のケラに凸簀巻き。シュルレアリスムの自動書記法と関係あるのは勿論だが、ダダの音声詩のアナーキーさにより近いかも。酒死せ似きられ氏は軒、毎簀巻きに色魔。「不可視」では、アフターダーク機能のところで「ランダム字崩れエントロピーアニメーション」を作る事を思い付き、早速プログラミング。播磨の敷きます行き、差死すニキ間。なかなか面白い。津イラ雲霞。この仕事のおかげでこの程度のLINGOなら簡単に組めるようになって楽しい。差は可塑間子に猿島椅子。

96.11.15(金)
朝「不可視」各種チェック後、途中段階のフロッピを速達郵送。月曜日にNADIYAに来られる全国政令都市の市長さん達には、こちらの反応速度アップ版を見ていただこう。眼科後ビックカメラで加湿器買い、岡崎球子画廊で高間夏樹展を見る。超よい。最低限の要素からなる、しかしれっきとした風景画。タワシは高校生の時分以来、そういえば根はずっと風景画家だった。帰社後、つかのに準備してもらっていたタワシのホメパゲの英語ページを、部分的ながらもやっと立ち上げる。これで本日締切の印種エキスポのリンクページに「英語ページあり」と記入して登録できる。JAPAN MIXの貝瀬さんより連絡あり、たった今、社長の許諾が出たとのこと。まぁ! つまり同社からタワシの本がいよよ出るかもってこと。20時半に日経デザイン誌の取材で、CG作家で今回ライターをされる江口響子氏はじめ、教え子の学生やら大勢いらっしゃる。江口氏はタワシと同じ千葉大出身とのこと。編集氏は「デザインの現場」誌に出ていたタワシの長髪の合成写真をうのみにし、玄関に出たタワシをバイトくんかと間違えたそーな。「バカCG」の語については、CGの語が神様のように思われていた当時のニュアンスを説明して初めてなるほどと理解してもらえる状況。マルチメディア・アーティストと名乗ることについては、マルチメディアの語はもうすっかり恥ずかしくない普通の言葉になったですねとのこと。とにかくみな、今までタワシに対して抱いていたイメージとタワシの実物のイメージが全然違うと驚いている。よくあることだ。一応デジネンとゆ観点からの取材だが、立体プリンタの話等いろいろ喋る。話はかなりはずみ、25時くらいまで喋りっぱなし。

96.11.16(土)
快晴。家事。昨日の英語ページのいろいろ細かな直し。アスク本田氏より先週キッズモニタにデジネンを触らせたとゆ話をTELにて聞く。わかる子は結構わかるのだそうな。DirectorのLINGOプラミングの実生活への影響の1つは、テンキーに触るのが怖くなること。ほぼ一ヶ月ぶりに逃網少々。前々から考えていた通り「リニアボタン」を付けてみる。これは結構画期的な、いいんだかわるいんだか。少なくとも便利でしょう。

96.11.17(日)
タイガーメンテ。先見ゼミでは早速回答を送ってきたシ也木公シ工羊大くんの自動書記ーボード答案が、格調高い韻文となっているように見えるもので面白い。寺谷氏より日記入稿催促されついでにいろいろお話する。テレビで映画「レオン」やっててつい見てしまったりする。

96.11.18(月)
「まるちめ日記」読んだとアスク飯嶋氏よりTELあり、なんと氏もタワシと同じ誕生日だとのこと。同じ星のもとに生まれ同じ運命を生きねばならぬわれわれ。3の二乗月と4の二乗日のわれわれ。足すと5の二乗となるが果たしてその意義は? 夜マックいよいよ導入の今井里砂氏見学に来アロ。氏に会うのは6年ぶりくらいで大変懐かしい。

96.11.19(火)
つかのとまえだがやってるもとみやのアンケート集計見ていて「何でファイルメーカーでやらないの?」とタワシが言ったばっかりに、なんだか大変な状況に。つまりタワシの提案通り、アンケートにも通し番号を打ち、結局ファイルメーカーでまとめ直す方針へと変更した様子。日記なかなか終わらず、字数増えて困った状態。自分の仕事で忙しい大岡が午後出社して、商品会議。今回もアロアロフロッピーズはほとんど売れていない。大岡より、12月いっぱいで独立したいとの意向を聞く。では今年いっぱいでアロアロインターナショナルから卒業ですね。上京してまっすぐここ来て2年半だったかな。タワシも医者をやめてフリーとなったのは2年後だったし、これで晴れてちゃんと独立ですね。仕事ももう相当忙しいようだから十分やっていけるでしょう。卒業記念に、自分で選んで気に入っていたこの椅子をプレゼントしましょう。来月はちゃんと卒業式をしましょう。しかしその前に、今やりかけの商品海外通販システム確立と、パンフ作成は終えてってねと話す。

96.11.20(水)
5時起きして日記字数減らしイラストとともに入稿。ぱぐちょは今朝U2。1回目で出きらず肛門付近に残ったまま。2度目も結構沢山出る。さるすべりさん達もかつて指摘していたように西洋式になって自分のUとあまりあいまみえてない昨今、自分のよりぱぐちょのそれに親しくするこの頃。先見ゼミ黒ペソ先生の採点。気配りし忘れていたが、今回の自動書記ーボード問題はローマ字入力の人には難しかったらしい。dsnfnun。タワシは今はかな入力だが、昔はローマ字入力だったので、そのくらいのこと思い出してもよかったはず。お家wfmdi、フォ維持pj、仏亞辞せじぇじうぇ。でもローマ字入力での意味無いアルファベットの羅列も大好きなのだが。dxxfjde8八万四百参拾八。まるで古屋俊彦氏の作品みたいではないか。fnlsjdsf。回答者数がめっきり減ってしまったのはしかし残念。うぇぬjsnri’、円fjenf。たぶんローマ字入力の人の方が多く、今回の問題を敬遠しちゃったんだろう。zwevopjjerj9r。にもかかわらず囲まれた経歴のにったさんはちゃんとローマ字入力自動書記してきてくれる。zxdl/gijw4ta。夕方衛星の番組制作プロダクションの方見え、タワシへの出演依頼なのだが、なんというのだろう、こちらをまるでやる気にさせてくれない人達だ。れ9gpdrog、prgdkr9pirb、ぴおえrjdf。

96.11.21(木)
「鳩よ!」誌イラスト。アストロ社年賀状イラスト「ゆく子くる丑」。アサパソ誌イラスト。夜にやっと「不可視」再開。つかのに残業してもらって、やっと平凡社秋山さんに送るテキスト一式が揃う。

96.11.22(金)
眼科後渋谷で散髪し、久々に切れ味に満足。最近髪伸び放題で、やまんばみたいだったからな。パルコギャラリーにて伊藤桂司展。ハンズでは簡単にコード巻き巻きが見つかる。これはNADIYAで、むき出しの天井からのコードを隠したいと思ったため。ビックカメラにてHi8とVHSのビデオWデッキ購入。これは1FのVHSデッキが何度クリーニングしても荒れるようになって久しいため。帰社し、今日タワレコで買ったシュトックハウゼンの「グルッペン」BYアバドBPOに感銘。圭太郎ちんから膨大量のe-mailが来ている。それにしても今タワシの最大の問題は自分の身の振り方。これといった代表作もないまま、結局こんなじゃ、あぶはちとらず人生かも。アーティストをするなら展覧会をしなきゃいけないことがパッケージ論書いてやっとわかったのだが、タワシにとってはデータがアイコン単位で存在する、このモニタ上の感覚こそ住環境でありかつ作品発表の場のつもりなのである。とゆわけで、展覧会はしたくないという方針のままここしばらくやってきたわけだが、しかしその結果としてはたとえばアロアロフロッピーズもそれほど売れてはないし、またタワシは美術史の問題をそのまま引き受けて制作しているつもりなのにそうは認識されないわけだ。「デジネン」にかこつけて膨大文章書いたところで学術論文にもならないし作品にもならない、なんというか持って行き場のない文章ってわけ。どおしよ。もとみやの仕事で来ている渋谷君と食事。彼は親が裾野市でマイホームを建築中とのこと。彼自身は美術運輸業の設立を考えているらしくて、とすると今までいろいろなアーティストのアシスタントをやってきた彼の今までの活動が、全部そのまま生かされるという事となり、なんだか衝撃的。その後「不可視」では、さらに暖めていた「主語問題」を解決。つまり直前のスプライトを加工していく動詞機能とは逆に、直後の表示に影響するボタン。今晩はイラスト方面では伊藤桂司展オープニング、現代美術方面ではスパイラルを中心とするモルフェ96オープニング等が重なってたが、どっちにも顔を出してきたもとみやによると、とにかくすごい人数のアート関係者総動員だったとのこと。いろんな人に「中ザワくんは?」と聞かれたとのことだが、しかし前述のように身の振り方もわからず代表作もなく困っているようなタワシの今の状態では、皆の前に出せる顔がないのだ。せっかく散髪して外見的には一応満足してるとゆーのに。って、ただの自意識過剰っすね。

96.11.23(土)
勤労感謝の日。ぱぐちょついにU失敗。つまり最近Oがうまくできるようになったら今度はOとUと混同するような愚かしい動きを見せていたのだが、ついに片足高く挙げたままUし、バランス崩して見事Uの真上に足を着地。しかもその後U2。それにしてもタワシは自分の身の振り方問題。いまだのこる紅葉のフラクタルを見ながら考え悩む。岡潔のことなどを思い出すといくらか気が楽になる。ビットマップ主義すなわちアナーキズムもそこまで行けば。「不可視」では「主語問題」改良。テレビで「八つ墓村」をやってて、この前故人となった渥美清氏が、実は加藤賢崇氏にそっくりなことを発見。

96.11.24(日)
家事。髪切り寒いせいか口内炎。もとみやが来月の個展のため2Fの一室の中身を寝室に大移動し、膠絵用にアトリエ化する。ひねもす「不可視」ボタン増産。助詞で始まる「を上に」「がやってくる」等の新種述語群機能を新たに創案。動詞機能と似るが、これは結局キャストペーストの方法による。

96.11.25(月)
明日名古屋で塗りの作業のため、10年前のタワシの財産のアクリル絵の具群を引っぱり出す。日展さんよりさらにお借りしていたPowerMac8500/120を早急に返却しなくてはならなくなり、しかしタワシの作業には引き続き必要なのでPowerMac8500/150を急ぎ通販購入。「不可視」3面サウンドまでたどり着く。3面はつかの、まえだ、もとみやに協力してもらって女性ボイス。朝方まで作業。

96.11.26(火)
秋晴れに湯気立たせたるぱぐのそれ
なんとか3面までボタンを増やしたデータを持ち、アクリル絵の具ビンをカバンに詰め、豚毛筆とペーパーパレットを買って名古屋へ。経堂を出たのがお昼。行きの「ひかり」内でアバウトテキストを執筆。NADIYA着いて、7年ぶりくらいにアクリル絵の具で塗り塗り作業。壁の額のピンクと水色と白の模様の感じを模す。ピンクは大量に造色。さらにピンクと水色の上から予定通りパールホワイトを塗りたくって、なんとなく作品としての一貫性は出たのではないか。筆ワザ懐かしい。意外と時間かかってしまい、その後、実は名古屋出身という博報堂の笠原氏と食事。おいしい煮込みうどんをご馳走になる。氏によれば、タワシのことは「カゲキかもしれない」と思っていたが全然そんなことなく、一緒の部署にもいそうな方で安心しましたとのこと。タワシは今回の仕事では、このような形で需要と結びつくこともあるのかと、大変勉強になりましたということを申し上げる。この間の全国政令指定都市の市長デモでは、横浜市長がタワシの作品にはまられたとのこと。「ひかり」で帰社。

96.11.27(水)
雨で寒い。お借りしていたPowerMac8500/120梱包返却。通販購入したPowerMac8500/150届きセットアップ。平塚の実家に出かけ、パフォーマ575で母が印種つなげない等四苦八苦してるらしいので、行って見てみる。実は英訳等ほめぱげ業務をちょっと母に手伝ってもらおうと思ってるのだ。システムを7.5にバージョンアップし、諸設定を変更して、試行錯誤の挙げ句144のモデムではうまく行くが、288のモデムではNIFTYにはつながるもののプロバイダにはつながらず。母も父も元気そうだ。電車内で澁澤龍彦「高丘親王航海記」読む。

96.11.28(木)
弊社は作風の異なる2名がやってる会社なので年賀状ビジュアルはどうしようか考えた末、差し障りない経堂の散歩道の風景画をタワシが描いて、さりげなく入れることにする。久々にPainter。ぱぐちょのいる散歩道だが、どうも夏っぽい絵だ。夜もとみやの作品撮影に黒川氏来アロ。朝5時まで「不可視」バグとり。

96.11.29(金)
「不可視」バグとり。結構重大なバグ見つかる。直しを入れて速達で日展栗原氏宛に郵送。12月1日オープンはこのバージョンで乗り切って下さい。2日に参るときに完成版を持参しますです(^^;) 眼科後ビックカメラで加湿器をさらに購入。ライトグレータイプがもう売切で残念。JAPAN MIXの貝瀬さんがいらっしゃり、92年にポパイ誌で連載していた「ヘタウマ西洋美術・画人列伝」をかなり加筆修正して出版することにほぼ決定。もとみやも一緒に食事。一昨日駅のホームで取り落とし一部破損してしまったぱわぶくを修理見積もりに出す。

96.11.30(土)
現代詩手帖バックナンバー「定型」特集を読みつつ特急「ひたち」に乗って水戸芸へ。車中「定型」の問題から、れっきとした美術作品……マルチメディアではなく美術……の構想を得る。といっても今までいろいろ構想してきたものの延長線上にあるものだけれど。「定型」とはすなわち「パッケージ」だ。今日は「アートシーン90-96〜水戸芸術館が目撃した現代美術〜」展初日で、峯村敏明氏と椹木野衣氏のトークシンポジウムでタワシの「再現!李禹煥」時のスライドを椹木氏が使用するというので、来てみることにしたのだ。話は椹木氏が現在BT誌に連載中の「日本・現代・美術」を起点としており、大変興味深い。途中で時間がなくなりそうになり、案の定タワシのスライドは出なかったが、むしろよかったかもしれない。峯村さんのスライドの「かたまりの彫刻」の問題点の所在に共感。その後一通り展示を見ながら、朝構想した作品について思いを巡らす。八谷氏の「ヒツジ」は、以前タワシがART SUMMIT MEMBERS誌に書いた文章をきっかけにしている。レセプションに出てみる。新川氏に「(タワシがこゆ場に来るとは)珍しいですね」と一言。水戸芸の黒沢氏によると、夏にデジネンテキストに反応してくれた小倉氏が、いろいろとタワシのテキストのことを吹聴してくれているそうで、有り難い。太陽誌で西尾康之展を取り上げた際御世話になったなびす画廊の真倉氏に挨拶しついでに、色々お話しする。結構きちんとお話ができ嬉しい。モリワキットの森脇さんに会い立体プリンタの話等。色々構想を膨らませつつ帰社。





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