1996年08月のまるちめ日記(96.08.01〜96.08.31)

96.08.01(木)
「太陽」誌アート欄用ネタ探しに真夏の日差しの中を画廊めぐり。「画廊めぐり」ってちょっと久々。渋谷GALLERY LE DECO上の階で工藤祐一郎展、下の階で諸泉茂展。後者は温度計ばかりの作家で存じ上げなかったが随分こまやかでなかなか面白い。その後恵比寿オオタファインアーツで「ゲリラ・ガールズ」、水天宮前のギャラリーで作間敏宏「治癒」を経て銀座へ。銀座では一通りかなり見て回ったが、記憶に残ったのはギャラリーKの山崎英一郎展と、村松画廊のグループ展で一点だけ出ていた彦坂尚嘉の作品くらい。理論派の彦坂氏の作品は雑誌で写真を見ただけではあまり面白いと思ったことは無かったのだが、今日見た実物では断然実力派ってかんじ。帰社すると平林享子アラタメ平林螢都嬢よりメールが来ていて、なんと氏がすっごい急ぎで書いてくれたCD-ROM Fan誌掲載用のデジネン文章、CD-ROMレビュー欄でなくアプリ欄に載るという理由で編集長氏じきじき「申し訳ない!」の連絡あり、今回は掲載されないことになったのとのこと。ではタワシのホムペジにアップさせていただきたいですが可能でしょうか?とTEL。ゼヒゼヒとのお返事。それにしても彼女、以前言ってた通り開運の改名。本人曰く「これで今までのツキの無い人生にオサラバしてモテモテのウハウハ街道まっしぐらよん」。都写美地下階では、今日からタワシのレンチキュラー作品&デジネンの展示が始まってるはず(映像工夫館展テーマ。「3D-ステレオを超えて」と同時開催の作品展[3D LAB. part~ 知覚の快楽]にて)。

96.08.02(金)
「太陽」誌は諸泉茂展を書かせていただくことに事に決定し、眼科後タワレコで三宅榛名等購入してからもいちど諸泉茂展に行ってみる。作家にお会いしいろいろお話ししているうちにどんどん考えがまとまる。諸泉氏よりついつい多くしゃべりまくってしまったタワシ。帰社後、月曜に見た「ラバーズラバー」感想文数行をホネ工房にFAX。いまどきのフランケンシュタインってな主旨。夜遅くアスク本田氏よりTELかかってきてデジネンのウェルカム・キッズ・キャンペーンの相談。さらに深夜、パルコ木下氏に誘われていたカラオケにちょっと顔出してみる。タイガーで知っていたHIMEさんや雑誌編集氏等、結構な人数集まっている。

96.08.03(土)
時計デザインの件でイタリア人からE-mailで質問に対する返事が来ている。よかった、相手はE-mailが使える。タイガーメンテ。都写美にパネル展示しているビジュアルのアップ等。宝くじ協会の新聞広告の簡単イラスト。小貫くんが夕方やってきて、ぱぐちょにはちょっと大きなホネ型ガムをいただく。それからもとみやがガイドブックのデザインをした「マリオ64」をやるため、NINTENDO64を初めて開封。すんごい3Dゲームとの触れ込みだが、なるほど、ドロー機能=オブジェクト図形方式バシバシの世界観で構築されている。ペイント機能=ビットマップ概念出自のデジネンと超正反対の世界観だ。オープニングのところにマリオの顔を引っ張って伸ばしたりするアソビがついてるのだが、もしかしてこれが「任天堂が開発してると噂のネンド」だろうか? 「マリオ64」自体はなかなか確かに新しい感覚を提供してくれているものの、たぶんこの概念を推し進めて行けるところの終局点から見たらまだまだ全然中途半端なのではないか? 今までのマリオワールドで培った遺産や約束事にとらわれすぎていて、開発者にとっても今までのマリオワールドユーザーにとっても導入としては適切かもしれないけど、「初めて触ったゲームがマリオ64」とゆーよーな人にとっては、冗長だったり不足だったりするようなところが見えてしまう「過渡期的」作品なのではないかと思う。しかし過渡期的作品として今後の方向性の指針はちゃんと示しているので(そしてそれはデジネンと正反対の方向だというのが明らかだが)、とてもよくできていると言わねばならないだろう。

96.08.04(日)
時計デザインのイタリア人宛にE-Mail書き、8月8日の毎日新聞夕刊に掲載予定の「96面白物図鑑」の原稿をやっと書き上げる。ネタはぱぐちょのドッグフードで、「これはビールのつまみににも合うですよ、アトランタ五輪観戦しながらどうですか」と書こうとしたら、数日前に五輪はとっくに閉会してるとのこと。世間知らずの俺。その後時計デザインでもとみやにお願いする箇所を社内受け渡しのためMOにデータを整理し、夜よりやっと「太陽」誌レビュー書き着手。ぱぐちょ吐く。

96.08.05(月)
朝ぱぐちょごはん食べず。病気かしらと心配。社内掃除中にまたブレーカーダウン。50Aでは足りないのかしら。「太陽」誌原稿結構マキが入るが午前本田女史いらしてウェルカム・キッズ・キャンペーン含め今後のデジネンのことなど相談。デジネンはおかげさまでとても評判で売れてるらしい。夕方レマン杉本氏いらっしゃり宝くじ協会イラストお渡し。19時にやっと太陽誌のレビュー仕上げて入稿。その後いろいろやらなきゃならないことはあるが「逃網」に逃網。でも「逃網」だって2週間ぶりなのだ。

96.08.06(火)
ぱぐちょはたんに夏バテか。一応元気。名古屋の青少年文化センターの設置作品の仕事、もう本格的に仕上げに取りかからなければならないのだがそのためには名前をまずしっかり決めなくちゃ。「空即是色インタラクティブ」では以前ちょっとクレームがついていて、自分でも別のに変えようと思っていたのだが、いろいろ考え新ネーミング「不可視関数試論 〜言葉で描く抽象絵画〜」とゆことに一応決定する。このネーミング、諸泉氏の原稿書いてた影響がちょっとあるかな? ネーミングに合わせて各種デザイン仕様が変わってくるため、いろいろ考え、案をまとめて夕方には設計工場さんと日展さんにFAX。夜またまた「逃網」。

96.08.07(水)
いい加減工事中ばかりのほめぱげに、せめてデジネンページだけでも早いとこ立ち上げたいとずっとここのとこあせってるのだ(都写美で8.1より配布中の印刷物には「情報アップ中」とすでに書いてあるし)。そのために以前書いたテキスト「視覚芸術史におけるデジタルネンド誕生の意味」と「付録:デジタルネンドならではの新感覚立体実作例」を少々改訂しようとしたら直したい箇所いっぱい出てきて大変。そうこうしているうちに夕方となりJAPAN MIXの貝瀬さんいらっしゃる。先日Painterの解説書を執筆しないかと電話してきてくださったのだが、Painterの話は即お断りしたけど面白そうな人なので、出版関係全般についてちょっとご相談でもって感じでいらしていただいたのだ。書き散らした文章は沢山あるが全然カタチになってないタワシにとって、はたしてこの方は締切マシーンとなってくれるだろうか? 美術史等興味は共通しているようだ。帰られた後、夏休み中の先見ゼミ黒ペソ出題「負けぎわのしりとり問題」解答解説採点成績発表。結構手間取る。

96.08.08(木)
ひねもすデジネン文章改訂仕事。先月18日にほうぼうに送った郵便物、ほとんど反応がなかったので、まあそんなもんかと思っていたのだが、今日になって「とても面白かった」との意見を客観的意見とともに小倉氏よりいただき、嬉しい。タワシの論旨は自分の中だけで勝手に組み立てているので、はたして専門家から見てどうまともなのか、あるいはどう変なのかわかりかねるのだが、氏は「ポリティカルな視点が欠落してはいるが着眼の仕方と論旨の進め方は完璧」と言ってくださっている。さらに氏の文章をタワシのNIFTYアドレス宛に送ってくれる媒介となった原氏も、タワシがあえてマルチメディアアーティストと名乗っている真意をかなり評価し、面白がってくれた様子で、ありがたい。時計仕事のイタリア人がどうもタワシのE-mailを見てなさそうなFAXを送ってきたのでTELしてみる。なんとか通ずる。

96.08.09(金)
昨日までちょっと涼しく、はや秋の心地だったのだが今日はまた暑い。眼科後タワレコでシェルシ「山羊座の歌」等購入。低いテーブルの上に置いといたメガネがぱぐちょに噛まれ、キズモノとなってしまふ。ニュースとしては火星からの隕石に生物のいた痕跡が見つかったとのこと。つまりそれってWe are not aloneてどころではなく、もしかしたら生命の起源を宇宙的規模で一元化できるってことではないか? この場合隕石という生命伝達物質の可能性が念頭にある。オパーリンの学説など間違ってたのかもしんなく、最初から幽と体は離脱してたって可能性がまた出てくる。ビッグバンと共に精神も生まれたのだとしたら?

96.08.10(土)
タイガーメンテ。先見臨海学校のしおり用文章。家事。図書館&プール。ホメパゲアップ用デジネン文章改訂仕事。

96.08.11(日)
朝パソイラスト。たまった日記を少々。そして午後からずーっとほめぱげの中ザワヒデキページ内に、デジネンページを立ち上げる仕事。「あかおに」をGIF Builderを初めて使ってジフアニメ化してみる。簡単でいて相当面白いのがまた出来てしまった。デジネンビジュアル、やはりホメパゲ作りに向いてますゼ。ページデザイン作業には結局相当手間取ってしまい、翌朝7時までかかりっきり。しかし気に入ったページができたのでみなはんみてくらはい。http://shrine.cyber.ad.jp/~nakazawa/NAKAZAWAから行けます。

96.08.12(月)
午後アスクに出向き「デジタルネンドfor KIDS」の第一回打ち合わせ。仕様的にはほとんど変更無く、インターフェースのみ変えたキッズ・ローカライズばーじょん。ただし一カ所、カラー設定に関する相当新しいアイディア突っ込んでみてみる。帰社後ミラノの時計屋に連絡文FAX。今日は昼よりゆーどらがおかしい。ふぇっちとテルネットと寝助は大丈夫だが。

96.08.13(火)
サイバーだの印種エキスポ事務局だのにつかのから電話しまくりゆーどら問題解決(サーバトラブルでした)。しかしエキスポの方のまだ一度もアクセスしたことないタワシのアドレスに行ったらメーリングリストでメールが830件もたまっててびっくり。午後コミックトム誌の取材で東さんらいらっしゃる。同誌はずーっと以前、まだタワシが駆け出しのイラストレーターだった90年に一年間モノクロイラストの連載をさせていただいた雑誌。その後TIPOGRAPHICAライヴat新宿PIT INN。新曲がとても新鮮でよかった。ただし名前は教えてくれず(次の江東のライヴで発表とのこと)。他に「スクールバス」「王将」「日本間とMC1000」等。今日もスナフキンお休み。いつもながらすごく聴取に集中力を要しするのが快感でもある。

96.08.14(水)
早朝に目覚め、日記執筆等。今日もミラノの時計屋に連絡。午後イラストレーション誌の本吉さんと、同誌新人の栗田さんいらっしゃってデジネンの取材。立体プリンタの可能性等いろいろ話す。やはり立体プリンタがしっかり登場しないと、だれもデジネンの多大なる実用の可能性に気付かないのではないか? 試作機なら既に現行の技術で出来るのでどこか企業さん、タワシ達デジネン開発スタッフと共に世界初の実用立体プリンタの開発しませんか? 立体プリンタとゆーのはかつてドロー概念からのものが藤幡さんの作品で日本では有名になったけど、タワシの考えてるのはもちろんビットマップタイプの実用的なものどす。時計デザインのための新たなイラスト描き下ろしと、過去の使えるイラスト整理。過去の静止画データ見てて、やはり93年の都写美「3D LOVE」展に出品した「アナグリフの穴」は秀逸だったと今さらながら思う。夜半どうも風と雨が強い。ひょっとして台風か、と思い夕刊を見たらモロ台風でした。

96.08.15(木)
台風一過でちょー暑い。時計デザインのための新たなコラージュ画作成。つかのに早速アナグリフ画の色調整作業をやってもらう。ところで「マリオ64」の冒頭の顔を引っ張ったり伸ばしたりするデモンストレーションは、まさしく任天堂が今開発しているところの「ネンド」なのだそうだとの噂を聞く。良かった、実はデジネン発売前に「コンピュータで子供も扱える3Dネンドって、任天堂がまさしく同じもの開発中だよっ」て人に言われて、もしかしたら任天堂相手にタタカワねばならないかもしれんと思ってたのだった(もちろんウラミがあるわけでわなひ)。この伸縮自在なマリオがしかしその「3Dネンド」だとしたら、モロこれはドロー系のオブジェクト図形方式によるものであり、われわれのビットマップ出自のデジネンとは正反対の方向性のものということになる。しかしいわゆる伸び縮みという感覚を「ネンド」の語に求めデジネンのブロック的外観に違和感を感じる人のために、はやいとこ「デジネン・ネーミング裏話」についてもテキストにまとめておかなければなるまい。われわれはデジネンのネーミング決定の際、ネンドかブロックか、あるいはアナログ界の比喩なしにボクセルペイントとか言っちゃう方がいいのかずいぶん迷ったのだが、「物質の量感」を表す語としてあえてネンドの語を採用したわけだったので。

96.08.16(金)
先月のまるちめ日記を書き上げイラストも仕上げNIF送付し眼科後帰社しつかのが昨日買ってきてくれた自動翻訳ソフトJ-EBANKを見てみる。おお、「中ザワヒデキ」は「ザワヒデキduring」と訳される。html文をそのまま訳せると便利なのだがスペースがタグの間にいっぱい入ってきてしまう。これはTexEdit等で後から一括でなおせばよいだろう。

96.08.17(土)
午前中にわが社での「J-EBANK」使い方マニュアルを書き上げ整備。これによって印種ほめぱげ業務が英語版まで社内で作れるってことだ。時計デザインのためまえだに休日出勤してもらう。雑然としたハードディスクとMO整備。仮想メモリをONにしたらずいぶん楽になった。はやくこうしておけばよかった。社内で2番目にRAMの小さいマシンを使ってるオレ。きっとユーザーより小さい。平林螢都嬢より「マドモワゼル螢都の愛の姓名判断」のメールをいただく。それによると中ザワヒデキの名前は「とっても個性的。コツコツ努力家。しかし他人はあなたの個性をすぐ理解しない。努力が簡単にむくわれないので落ち込む事あり。雑草のような不屈の精神力」などなどとある。なるほど、他人に理解されずに死んで行き、後にこの日記だけが残るというわけだな。螢都さんお忙しい中ありがとう。夜突然京都の原さんやってきて泊まり。JATの原さん、最近無沙汰していて、ここの前の「すえひろ」が無くなって以来初めて。もちろん原さんがぱぐちょに会うのもはじめて。夜中やっと14日以来悲願となってた赤青眼鏡用アナグリフ作品「アナグリフの穴」をほめぱげにアップ。トップページのデザインはまだ要修正。アナグリフの4色絵って大画面だとPICTではとても重たいが、GIFだとかなり圧縮できてとてもよろしい。ほめぱげ向きの素材だ。

96.08.18(日)
原さん送り出しもとみや母実家改築ミーティング。今日も時計デザインのためまえだに休日出勤してもらう。時計のアラームサウンドを以前作りためたオリジナル音集から選び出し、コンセプトシートを英文で書いてたら眠くなったのでまえだ達働く中25時頃、先にタワシは就寝。

96.08.19(月)
時計デザインのもろもろ、そしておととい中に済ませる予定だったほめぱげ仕事。すなわちデジネンのGIFアニメ5個作り、また平林螢都氏よりいただいたデジネンテキストをアップロード。予想外に時間かかる。つかのに「J-EBANK」担当となってもらっていろいろ方針を決める。大岡には今日一日もとみや指揮下に入ってもらって時計デザインワークをまえだとともに朝4時までやってもらう。いったん「未確認事項」等FAXし整理したあとに、一応どうしてもの今日締切に間に合わせ、朝方データを時計屋宛にE-mail入稿。けっこーつかれた。

96.08.20(火)
つかのは普段通り10時出社、大岡とまえだは昨晩は今朝まで働いてもらったので13時の出社。今朝送ったデータに不備がいろいろあったことを聞き(ファイル名不備等)、しょうがなくもう一度送りなおし。鳩よ!誌イラスト。GIOS誌表紙イラスト。大岡には、ぱぐちょにかじられてしまった玄関の木目部分の補修をお願いする。夏の暑さに弱いパグ犬種のぱぐちょは、ここ一カ月は冷たい玄関の石畳が居場所。時々木の部分を噛んでいたようだ。なおぱぐちょは最近体重8kgで成長が止まったらしく、朝のドッグフードも食べなかったりするので一日2食に移行態勢。毎朝来る佐川急便の配達さんがすごい好きでいつもきゃんきゃん騒ぐ。ちなみにぱぐちょの写真が載ってるほめぱげはhttp://www.camme.ac.be/~cammess/www-pug/home.htmlから、Pugchoのpicturesを探すか、96年7月のページを探すかしてください。木野鳥平と誤植されることを嫌っている木野鳥乎氏も一緒に映ってまふ。われわれは現在、ぱぐちょに歩行器を買ってあげて直立歩行の練習をさせることを計画中。

96.08.21(水)
11時「鳩よ!」の新しい担当の新井さんがイラスト受け渡しがてら挨拶にいらしていろいろお話しする。デジネンの話から文章形式の話となり、タワシがずーっと以前から文章の方式に関して気にしている問題……これはいつか機会あったら何かの形できちんと発表してみたいと思っていること……を、親指シフト派の新・鳩よ編集氏相手に話し込む。「親指シフト、ぜひ貫き通すべきですよ」と言ってみたら「そんな風に励ましてもらったの初めて」とのこと。みんな早く親指シフトなんかやめればと言うんだそーな。むむむ、パソコン環境も住環境だと思うので、むしろある時期の環境をしっかりと体内に保存しているユーザーなどは人間国宝にでも指定されるべきだとタワシは思ってるのだ。マックにしろ、新しいものほどいいわけでは決して無いのだし。昨日描いたGIOS誌表紙イラストが気に入らないので描き直し。そしたらすごくうまくゆく。時計屋に送るプリントアウト出力がやっと用意でき、国際宅急便で配送。一番最初にE-mailで送ったデータのうち、一部の小さいデータしかオープンできないと時計屋から連絡が来ているので、見るためだけの簡単なものと、全部のデータを細かく分割したものを再度アップロード。

96.08.22(木)
全然予定通りに仕事が進まず、とくに名古屋青少年センターの「不可視関数試論」が進んでなくてとても気が重い。今度の月末の大変さを考えると気が滅入ってしまう。学生時代によく陥っていたスランプ気分。はたからはそーは見えないかもしれないけどここ数カ月間あんまり状況よろしくない。特に最近よくない。15時半シンクロニシティの志岐さんともう一方見え、衛星の番組の取材。ヘタうまのココロその他色々カメラに向かってしゃべくる。日本での放映はなくアジアの他の地域に向かって放映されるとのこと。晩まえだ・もとみやとプール。ボタンを押し間違えて回数券を9000円分も買ってしまったが、まぁいいやそのうち使いきるだろう。

96.08.23(金)
眼科後西武にて、先見臨海学校で御世話になる緑ペソ先生媒体日比さんの実家日吉苑様にお渡しする粗品を選ぶが、旅館あてだと何買ったらいいかちょっと迷う。そして晩より、先見ゼミの夏のイヴェント「先見臨海学校」。今年は幹事役を金ペソ先生媒体の古山さんにお願いし、行き先は愛知・岐阜方面で日曜の深夜には東京に帰ってくる行程。夜12時に経堂駅前に集合で、車はタワシの含めて三台。参加者はペソ媒体勢が4人と、タカノさん、ジャネット改めいしはらさん、岐阜が地元の大岡くん、先見外から新川さん、そして車も一台出してくれるキノトロープの伊藤さんの総勢9名。古山さんの上司でもある伊藤さんはCSV時代にもとみやのことを知ってるとのこと。また山口くんとかつてバンドもやってたらしい。五月に囲まれた新田さんは仕事が大変らしくタカノさんの持ってきたデジカメのみの参加となり、まえだは家から車出してくれたもののおじいさまの容態悪く不参加。早速赤ペソ先生渾身の責任編集「先見臨海学校のしおり」が各参加者に配られる。「古い電池と新しい電池を混ぜないこと」「異性と話すとき恥じらいを忘れないこと」「生理をうつさないこと」等々合宿にあたっての注意事項やら疲労度と楽しさの予定タイムテーブルやら、いつもながらこゆものに関する池松さんの才能の爆発には驚かされる。なんだかすごい忙しそうな大岡くんがPHS片手にやっと到着して1時AM過ぎに出発。行き先は愛知県知多半島の日吉苑。車の乗員はサービスエリアで休止する毎にぐちょぱジャンケンで交替することにして、これだといろんな人とお話しできてよろしい。タワシの車ではナゾナゾやらしりとりやらで眠くならない工夫。海老名、足柄、日本平、浜名湖各SAで休みつつ早朝に東名降りて一般道。そしたらナビの人達が地図を見るようになってしまい、しりとりでもってた運転手のタワシは急に眠くなるという顰蹙な事態でタカノさんに運転代わってもらう。AM7時日吉苑着。相当立派な旅館でこんなところに格安で泊めてもらうのは気が引けるがありがたい。日比さんの御母様にご挨拶し、朝食をいただき、通された2部屋に分室し昼まで寝ることにする。

96.08.24(土)
11時AMすぎに目覚めてしまい、皆起きないのでタワシだけ先に浜に出て泳ぐ。朝はあいにく曇りで風強く寒いくらいかと思っていたが、昼になったらちょっとは日が射してきて曇ったり晴れたり。ブイまで行ったりするがクラゲはさほどいない様子。そうこうしているうちにみなぞろぞろ浜辺にやってくる。日比さんのまだ小さい小学生の弟くんも現れる。デレデレと遊び、タワシは眠くなって砂の上で眠ったり、SPF30のクリームをべたべた塗っていたら眼に入ってとてもしみたり。午後になり釣り師の伊藤さんらは釣りに出かけたり、タワシは残ってまだ砂の上で突っ伏して寝ていたり。夕方日吉苑に戻ったら大部屋がタワシたちのために用意されていて、一部屋分引越。数キロ先からお湯を引っ張ってきているという温泉風呂に入り皆揃って夕食。もともと料理屋さんから出発した旅館とのことでとてもおいしい海の幸。愛知らしく海老料理が中心。しかも量がとても多い。その後そこにあったカラオケセットでちょっと歌う人もいて、それから花火大会。風強いが線香花火などもがんばり一応夏の情緒。そして部屋に戻って、大小2組のトランプを混ぜたが結構難なく出来た大貧民大会。下剋上やら革命やらいっぱいあり全員ではまる。その後は池松さんが女子高生時代に作ったという手作りゲームをする。それがとっても大変な思いのするゲームで、いつもは刺激されない心のある領域を、ひたひた素手でさわられる心地がする。ルールは簡単で自分がひいた「足が臭そう」とか「あなたと私は赤い糸で結ばれてるのよ」とか書かれている沢山のカードを、他の人に見せずに必ず自分以外のだれかに伏せたまま渡さなくてはいけないというもので、最後に誰がくれたかわからない自分のところに来たカードを表にして見てショックを受けたり、他人のところに行ったカードを見てまたまたショックを受けたり。何回かやって、山田花子を読んだ時のようないたたまれなさと逆説的な快感を心のどこかに余韻として残しつつ、消灯就寝。

96.08.25(日)
先見臨海学校最終日。朝食後精算を済ませ、日比さんの御母様に大変沢山のお土産を頂いてしまって、車に乗り込み一路岐阜養老へ。ここは大岡くんの実家のあるところで彼がナビゲーター。最初の目的地は荒川修作の作ったテーマパーク「養老天命反転地」。もうオープンして一年か二年になるとのこと。途中伊藤さんの車がはぐれてしまうが、なんと目的地の駐車場入口でまったく偶然に合流する。さてその養老天命反転地は、一目見てすぐ「マリオ64だっ」と思う。まるで同じような風景。近づけば近づくほどマリオ64に似ている。入場するとなおさらマリオ64。すべりそうな斜面とか、一定の法則を持って林立する構造物とか、いちいちオブジェクト図形方式のマリオ64のまんま。大岡くんの知り合いで以前NiCAFでタワシもお会いしたことのある平林恵さんが、岐阜県立美術館をやめて今この反転地の学芸員となっているというので挨拶する。「マリオ64そっくりですね〜」と早速感想を言うと、コンピュータゲームと似てるという視点で雑誌に紹介されたこともあるとのこと。人によってはそう見えるようですねとのこと。それからドーム型のところまで行って自由に歩き回る。今日は暑くて人が多いのが難点だが、涼しい季節の空いてるウィークデーにお弁当持参で来たりしたらなかなかいい場所なのではないかという気はする。靴ももっとしっかりした運動靴の方がいいだろうな。「極限で似るものの家」「陥入膜の径」「はるかに続く道」「もののあわれ変容器」等々、名前にも結構ハマれる。「切り閉じの間」の暗闇奥にあった、淡い光が差し込み反転日本図が頭上にある小スペースなど、不思議と心の皺にぴったりはまるような心地。
 ひとしきりハマッてから大岡くんの案内で養老サイダーを飲みに行く。サイダー瓶の形が昔と変わっていて大岡くんは残念そう。日本で最初のサイダー会社だそうな。ゲップの鼻に抜ける感触を味わう。ちょっと軽食してから、養老の新名所といううたい文句の「珍品城」に行ってみる。やたら沢山の骨董品。なかにはいいものもあり、とくに家具セットなどいいのもあるがここで買って帰るわけにもいかない。古書、古レコード、古美術の類も相当量ある。開きかけの階段状の棚やら止まったままの古時計等々、いちいちもとの所有者の気配を漂わせていそうでよろしい。もとみやが来ていたらさぞかしはまっていただろう場所。そしてその後大岡くんオススメの大垣の手打ちうどん屋に行き、本当においしい。外の水路にはかなり成長したおたまじゃくしが沢山いてアメリカザリガニと共存している。もう夕暮れで、これから帰路。新川さんが途中で見つけて買った子供向けのなぞなぞ集やりつつだんだん日が暮れてゆく。「僕の回りには空気がある。ではキミの回りには何がある?」「すずめのきらいなかしはなぁに?」行きと同じようなかんじでSA何カ所か止まりつつ。そして最後の足柄SAでは夜も更け標高もちょっとあり、肌寒くみな口々に「もう秋だね」と言っている。「臨海学校が終わった時間と夏が終わった時間は同じでしたね」とは、後からタイガーにアップされた池松さんの言葉。東名高速がその先混んでるとの情報聞きつつ、各車それぞれ人を送りつつ解散。参加者のみなさまおつかれさま〜。日吉苑の方にも御世話になりました。

96.08.26(月)
今日はアロアロインターナショナルは休みにしていたので、休み。なんだかすっかり涼しく、本当にもう秋ってかんじ。CD-ROM「Plastination」のことで著者の一人から結構な内容のメールが来ていたので早速返事の下書き。臨海学校ではおつかれさまでした〜の伊藤さんからメールが来ていて、彼の会社キノトロープのURLに行き、氏の名盤紹介コーナーにいろいろと共感。

96.08.27(火)
通常の会社業務に復帰。長らく整理整頓を2の次にしていて大変なことになっていたハードディスクの整理。とりあえずの段階まで終わり、やっと「不可視関数試論」に着手。

96.08.28(水)
朝タイガーメンテ。不可視関数の続き。CD-ROM「Plastination」の今までの売上を出してつかのにまとめてもらう。V-JUMP誌イラスト。朝3時頃まで不可視関数。

96.08.29(木)
不可視関数ではさらにテキストの読み上げをマックにさせたいのだが、ディレクタのXtrasを探してみたけどそゆ機能のサポートってない様子。あまり用途無いってことか。テキストエディタの「色機能」はFirstClassで威力を発揮したのでみな使い道を認めているわけだが、「スピーチ機能」は今のところまだまだアソビ機能としてしか認識されてないということなのかもしれない(ヘアライヴ2で使ったんだけどねぇ)。午後「日経ベンチャー」誌の取材で樋口さんいらっしゃる。かなり写真をきちんと撮られる。主旨は「医者やめた人がマルチメディアコンテンツ制作をするベンチャー企業を興した」ってかんじらしいのだが、べつにこちらは利潤追求を最是とするベンチャービジネスやってるわけでもなく、社員を増やすつもりもないのでちょっと話がうまくかみ合わず。毎日新聞内藤さんより電話かかってきて、8日に載ったタワシの書いたドッグフードの記事がドッグフードメーカーのヒルズサイエンス社から感謝される結果となり、同社よりフードを贈ってもらえるとのこと。人間が食べるという主旨内容なので怒られるかと思ったらそうでなく、一安心。文章はそういえば、タワシの原稿の段階ではちょっと製品名等曖昧だったものをバチっと商品写真を出し、文中に商品名もバチっと記載して、結局広告みたいになっちゃってたので、ま、ちょうどいい結果かもしれない。夜つかのには原稿用紙型のワープロソフトを買いに行ってもらう。

96.08.30(金)
朝方の作業で不可視関数は結構いいとこまでいく。というか、日展さんより連絡有り、電光表示板出力プログラムをプログラマーさんに書いてもらう前段階まで行っていれば、全体の締切はまだまだ延びるということだったので、一挙にとりあえずのセンとしては楽になったのだ。眼科後次の「太陽」誌アート欄レビューのネタ探しも兼ね、西武百貨店で「明和電機」展、恵比寿ハヤカワマサタカ画廊で丸山直文、フジテレビギャラリーでヨーゼフ・ボイス展。明和電機は会場でばったり会った知り合いのスタッフに弟さんの方を紹介されたけど、とくに何も喋らず失礼だっただろうか。彼らの作品と売り出され方はともかく、あの土佐兄弟の顔付きはとてもいいのではないかとタワシは思ってるのだ。いったん帰社しすぐ車でもとみやと上野にでかけ、奏楽堂で石川高さんらの雅楽発表会を聴く。車が意外と混んでてまたも遅刻。雅楽の唄の楽譜を手渡され、やはりこのデカルト的でない時間概念に何か感じるものがある。会場で会った田島和枝さんと初対面の池山くんも一緒に、急に思い立ち目黒の蔬菜坊に行く。要予約の店だが入れてもらえる。「山廃」があったので嬉しい。ゆばと禅寺料理は勿論とてもおいしい。

96.08.31(土)
不可視関数の仕上げにちょっと手間取る。昨日つかのにインストールしもらった原稿用紙型ワープロソフト「鴎外」は、試してみると、タワシが考えていることには全然使えず。今日が最終日の第3回「イズミワク・プロジェクト」を永福町まで見に行く。見に来たのは今回が初めて。じきじきの口上文と共にご案内をいただいた、屋上で展示していた牛島達治さんの作品は良かったけど、後はなんというか、予想通りというか。帰ったら太田螢一氏が遊びに来ていて、数カ月前に氏がいらした時よりだいぶぱぐちょが成長しているので驚いている。前から思ってるのだが、ぱぐちょも何かしら「表現」をしないと、単にわれわれに愛玩されるだけの存在となってしまうだろう。しかし「表現」するには、その肉球ばかりの手ではどうにも事足りそうもない。なので今度ぱぐちょに便利な「長い指」を、是非取り付けてあげようと計画しているのだ。……などといったバカ話を聞いてもらい、一緒にお好み焼き屋に行く。





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