完成作展示チラシ
テキスト

 画家は通常、筆や鉛筆を手に持って絵を描く。だが芸術創造の瞬間においては手の活動よりも、脳の活動自体のほうが、より重要で本質的なはずである。そこで私は頭に電極を取りつけ、脳の活動を自ら制御することによって、絵を描くことにした。医療の分野で「脳波」と呼ばれるその曲線は、美術の世界においては手を介さずに脳が直接描いた「ドローイング」であるはずだ。

 二週間の修行を経て、2006年11月4日と5日の二日間、衆人環視のもと、私は脳波ドローイングをおこなった。両日とも午前に第1回、午後に第2回のライブ・パフォーマンスをおこない、一回のパフォーマンスで5点を制作した。すなわち二日間では計20点、第1番から第20番までの「脳波ドローイング」が完成した。
 「脳波ドローイング」では、脳波計を操作する助手の指示に合わせて、私はベッドに横たわりながら一分間脳波を出し続けた。それはリアルタイムに専用紙に描き出され、同じ描線はプロジェクタを介して壁に大きく映し出された。ガラス張りの室内には、作家の依頼により三名が立会人として招かれ、仕上がったばかりのドローイングに立会人として署名した。三名のうち一名はパフォーマンスごとに交代した。署名が済んだドローイングはアシストの手により室外に運び出され、ガラス越しに鑑賞していた観客に披露された。

 上述のとおり制作された「脳波ドローイング」全20点は、現在、公開制作室内にて展示中です。同室内には「習作」120点も展示されています。講座室での関連講座(11/3, 12/3, 12/23)、市民ギャラリーでの関連展示(12/19〜12/24)と併せてご覧ください。詳細は他のチラシを参照くださるか、美術館のウェブサイト(www.art.city.fuchu.tokyo.jp)等をご覧ください。 2006/11/18

助手=藤田千彩  アシスト=石井香絵  衣裳協力=御殿谷教子
[脳波計] 日本光電工業株式会社EEG-1714 [電極配置] 国際脳波学会10/20法
公開制作36 中ザワヒデキ「脳波ドローイング」 主催=府中市美術館
脳波日記 ブログ http://blog.livedoor.jp/nouha_nikki/