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『三五目三五路の盤上布石絵画第一番』*(1999)
自己作品分析(解説ではありません)

・画面サイズ……35目×35路=1225画素
・画素表現……「地」「黒石」「白石」の3値表現
・構成……「地」128目、「黒石」549子、「白石」548子。
・特徴……左右対称の静止画作品。囲碁として見た場合すべて「セキ」となっている。

<注>囲碁は地を囲い込むことを目的とするゲームである。特に相手の石を自分の石で取り囲むと、相手の石を取り上げ、地とすることができる。
<注>「セキ(持)」とは、相手の石を取りに行こうとすると逆に自分の石が取られるため、互いに手が出せない状態のこと。

・囲碁としての特徴の詳細(1)……
「すべてセキとなっている」とは、盤上の石や地がすべてセキの構成要素となっているということである。本作では以下に分析するように、53個のセキが盤上を覆いつくしている。双方とも一子たりとも着手不能で、有効な二眼以上の石は共に無い。「死石」と単なる「ダメ」は無く(セキを構成する「内ダメ」を除く)、盤面全体は等しく緊張している。

・囲碁としての特徴の詳細(2)……
試みに本作においてどこでも一子打つとしよう(ルール的に着手可能な場所はセキを構成する内ダメのみ)。すると、それを形成していたセキの自分の石がすべて相手に取られてしまう。同時にそれは、隣接する別のセキの外壁が壊れたことをも意味する。これがいわゆる「セキ崩れ」を引き起こし、そのセキにおける自分の石もすべて相手に取られてしまう。この反応が連鎖して盤面全体に及ぶため、自分の石はついに一子も残らない。これは単なる敗北ではなく、絶滅である。

・囲碁としての構造の詳細……
本作構成図(あ)を、セキごとに塗り分けし、着彩した図(い)を便宜のために呈示する。
a)本作における53個のセキはすべて「攻合いのセキ」である。
b)紺色の黒石と青色の白石によるセキ25個と、
紫色の黒石と藤色の白石によるセキ6個の、合計31個のセキは、
「無眼の石同士で2目の内ダメを囲むタイプ」の攻合いのセキである。
c)赤色の黒石と橙色の白石によるセキ10個と、
緑色の黒石と黄緑色の白石によるセキ10個と、
桃色の黒石と薄桃色の白石によるセキ2個の、合計22個のセキは、
「1眼の石同士で1目の内ダメを囲むタイプ」の攻合いのセキである。
d)「地」128目の内訳は、
セキを構成する内ダメ 31×2+22×1=84 84目
1眼の石として存在  22×2=44      44目 である。
e)隣接するセキは互いにセキの外壁を形成している。
f)終局計算は、セキの眼は地として数えないので双方ともに0目で、勝敗無し(取り石が無い場合)。




三五目三五路の盤上布石絵画第一番*




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