方法主義参戦宣言

 現時点での戦争は確認としてしか作用しないだろう。かつてわれわれが宣言で指摘したとおり、前世紀から民主主義体制は衆愚政治に陥り、全世界でセンセーショナリズムが跋扈している。しかし、同語反復が意味する無意味は、衆愚政治やセンセーショナリズムの口実とはならない。歴史という機械に従うために、同語反復はむしろ権威化を要請し、時に武力を伴いさえする。そのような場合、同語反復的な芸術、すなわち芸術としての芸術は、武力として見られ、読まれ、そして聴かれうる。
 方法絵画はおもちゃの戦車ではない。大地を血で染め上げる真の兵器である。方法自体に重ね合わされた色彩平面だからである。
 方法詩はおもちゃのミサイルではない。憎しみを伝達する真の兵器である。方法自体と化した文字列だからである。
 方法音楽はおもちゃの爆弾ではない。断末魔の叫びを上げる真の兵器である。方法自体が具現した振動時間だからである。
 われわれ方法主義者は、芸術は武力であることを自覚する。われわれ方法主義者は、交戦国とその支持国に対して、これらの武力を同語反復的に行使する。われわれ方法主義者は、反戦運動と周囲の芸術家、ならびにわれわれ自身に対して、宣戦を同語反復的に布告する。

補遺一
対イラク戦争は非合法だ。それは9.11の正当性を世界に確認させるものとなるだろう。

補遺二
方法主義者は歴史という機械に従うが、それは世界の歴史とともに彼/彼女が所属する個別の国の歴史を含み、両者は一致しない場合もある。例えば彼/彼女の国が交戦または戦争支持している場合、同語反復とは一方では確かに戦争賛美のことである。

補遺三
かつての宣言とは、2000年の「方法絵画、方法詩、方法音楽(方法主義第一宣言)」、2001年の「方法主義第二宣言」、そして2002年の「方法絵画、方法詩、方法音楽(方法主義第三宣言)」である。「方法主義参戦宣言」はかつての宣言の言い換えである。

補遺四
本宣言に対する賛同者は、「賛同、氏名、国籍と肩書」と末尾に書き加えた上で、自己の責任によって、知人に転送して構わない。部分的賛同者、非賛同者も同様である。もちろん、氏名を追加せずに転送したければ、それでもよい。

西暦二〇〇三年四月一日

起草…グループ「方法」:
中ザワヒデキ、日本の美術家
松井茂、日本の詩人
三輪眞弘、日本の作曲家


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