2007年01月

2007年01月31日

「アートキテール」チラシ

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「アートキテール」チラシ
1993
746×533ピクセル
実際にチラシとして使用された作品
Courtesy Gallery Cellar

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告知というわけではないのですが、
「美術手帖」次号3月号で私・藤田が中ザワさんにヒアリングをしています。
内容は、なんとムンクの「叫び」について!
実は今日締め切りなのですが、
いまだ電話でヒアリングしながら原稿を書いている・・・というありさまです。

徹夜が出来ない私は、ベッドだとぐっすり寝てしまう恐れがあるため、
中ザワさんとのやりとりを夜中じゅうするために、机につっぷして寝てました。
さ、寒い。
ここまでしてやらなきゃいけないのだろうか。
だいぶ疲れてきたぞ。
んもぉ、イヤダ・・・うぉぉぉぉ!
と私が「叫び」みたくなっております。

そして今日の作品、中ザワさんはかつて既に叫んでいます。
93年からすでに美術について言いたい人だったのか・・・。
まだ中ザワさんからOKをもらえないムンクの原稿を眺めながら、
私の未熟さをつくづく感じるのでした。
ああぁっ、もう、ヤダ。


2007年01月30日

不良少年のパソコン学再び第5回「入力する」のためのイラスト

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不良少年のパソコン学再び第5回「入力する」のためのイラスト
[誌上発表作品]
1994
480×580ピクセル
雑誌「ASAhIパソコン」朝日新聞社 1994年3月15日号 (no.123) p.113
Courtesy Gallery Cellar

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中ザワさんからメールが来ました。
「バカCG」の時代のイラストを送ります、とのこと。
荻窪圭という人のパソコン入門みたいな連載につけていたイラストだそう。
届いたメールを開いたら、この画像がありました。

うーんと、うーんと。
藤田はよろしくない脳みそで読み取りました。

94年と言えば、私がまだ大学生のころ。
パソコンは高級品の部類でした(あるにはあったけどまだワープロ全盛期だった)。
そんなときにパソコン雑誌で「入力する」ことを伝えるなんて。
とっても高尚な趣味をお持ちの、日本社会のごく一部のための人向けイラスト?!

「入力する」=「力を入れる」なんて、中ザワさんらしいウィットです。
もちろんこんなに力を入れてはパソコンのキーも破壊するってーの。
そしてだんだん赤く(ピンク)なっていくオジサマもすてきです。

ところでこれはイラスト単体だったのかしら?
今度中ザワさんに本誌を見せてもらわねば。




2007年01月29日

タイムマシン

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タイムマシン
1988
31.2×31.2cm
アクリル絵具、紙
発表歴: 1988 アートワークス展III「PEACE BY PIECE」(詳細1) (詳細2) ギンザ・グラフィック・ギャラリー、1988 個展「火星人ヨサラバ」ギャラリーアートワッズ、2004 個展「中ザワヒデキの原点展:1980年代アクリル絵画」ギャラリーセラー(名古屋)
個人蔵

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この時代に戻りたい、ってありますか。
私は小学校2年のときに戻りたい。
高校時代に戻りたい。
いろいろ戻りたい時期があります。
そして、家族だんらんや友だちと騒いだ、
楽しくて暖かさにあふれた、
あのなつかしい時間をもう一度楽しみたいわけですわ。

今回の作品のタイトルはずばり「タイムマシン」。
サディスティック・ミカ・バンドの名曲「タイムマシンにお願い」
をモチーフに、展覧会のために中ザワさんが描いたものです。

中ザワさんがタイムマシンに乗って(?)描いたものは、
歌詞にあるとおり、
恐竜あり、古代生物あり、侍あり、黒船や異人ありの時代です。
んー、いまの私にはそれは遡りすぎだな。
もちろん、そういうのもアリですが。


2007年01月28日

960個の回文的造語

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参考図版(部分)はこちら

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960個の回文的造語
2003
左上、中上、右上・・・各16.5×44inch(42x112cm)
左中、中中、右中、左下、中下、右下・・・各25.6×44inch(65x112cm)
発表歴:2003 ISCPオープンスタジオ展(ニューヨーク)
Courtesy Gallery Cellar

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見せかた、というのが美術には重要な気がします。
壁にあるから美術作品、というのもアリですけど、
おっ!と思わせる場所にあるのもアリです。
インスタレーションは配置自体に意味を持つ気がしますが、
この作品の場合、そういうインスタレーション的意味は
持ち合わせていないと思います。
どちらかというと、この作品の場合、
窓ガラスに文字がある!およよ!ということが言いたいのです。

そして窓の外、景色ではなく、「文字」に見やったときに、
何が書いてあるんだろう?と目を配ったとき、
1月8日にも紹介した「回文ならぬ回語」的要素を含んでいます。
知能テストを思い出させるかなりはっきりした規則性があるようです。

中ザワさんの作品をきっかけに、
ふと別の場所にも目を向けてみてください。
もしかしたら、案外(意外にも)えっ!という場所に作品はあるかも。



2007年01月27日

今月の美術美術学第1講「ルーツをたどれ」

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今月の美術美術学第1講「ルーツをたどれ」
1991
591×1440ピクセル
雑誌「GOMES」PARCO 1991年2月号 (no. 22) p. 9
Courtesy Gallery Cellar

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実はこないだ、友だちとふっと「GOMES」の話になりました。
高校のころだったよね、PARCO行くともらえるやつ。
私は東京に遊びに来るたびもらってたんだわ。
たぶんうちの屋根裏部屋をあされば「GOMES」が“束”で出てくるよ。
もしかしてさぁ、中ザワさんのこと、ずいぶん昔から知ってたのかも。
・・・なんて会話して数日後、中ザワさんからもらった画像を見て、
「はっ!!これ知ってます!」と思ったがー(岡山弁)。
“運命の赤い糸”を感じたんじゃけど(笑)。

まじめなのか、うんちくなのか、エッセイorコラムなのか、
はっきりしないのがGOMESっぽい。
そしてずっと美術にこだわりがあった中ザワさんらしいタイトルと内容。
「バカドリル」とかゆたんぽさんと一緒に並んでたんだっけ?
ちょっとGOMESを探しに実家に帰ろうかしら。
いやぁーなつかしい!ビバ青春!
(ひとりで盛り上がる74年生まれの藤田であった)


2007年01月26日

夕暮れの赤い室内

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夕暮れの赤い室内
1979
53×65.2cm
油絵具、カンバス
発表歴:1979 第10回神奈川県青年美術展、1980 栄光学園高等学校創立記念祭(神奈川)
受賞歴:第10回神奈川県青年美術展入選
Courtesy Gallery Cellar

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日が長くなりましたね、とタクシーの運転手さんが言ってました。
そうですね、4時半とか5時とかでまっ暗だったですよね。
ことに日が暮れるのが早い冬は、
長くて楽しい夜への序章である夕暮れはとてもせつなく感じます。

で、この絵。
「第10回神奈川県青年美術展入選」になっている、実力派作品。
いやぁ、筆づかいが太くて、ぐりぐりぬりぬりは、私の好みです。
地味な色使いから察するに、
きっと中ザワさんも「夕暮れがせつない」と感じる人なんでしょう。
え?そんなことないって?
絵なんてどう見てもいいじゃん・・・(ぶつぶつ)。


2007年01月25日

脳波ドローイング第8番 (2006年11月4日 第2回パフォーマンスの3)

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脳波ドローイング第8番 (2006年11月4日 第2回パフォーマンスの3)
2006
24.5 x 300.0 cm
インク、紙
発表歴:2006 中ザワヒデキ ライブ パフォーマンス 「脳波ドローイング」 (公開制作36)府中市美術館

Courtesy Gallery Cellar

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昨日の「単一曲線」で、「はっ」と思い出しました。
「脳波ドローイング」の存在を〜〜〜。

去年の府中市美術館での展示で、よく聞かれる質問のひとつに、
「どうやったらこの波形は出るんですか」
というのがありました。

「脳が活動する」ということが、目に見える形「脳波」になっています。
私が描いていたわけでないので、詳細はよくわかりませんが、
中ザワさんはいつも何かしら考えているようで、脳波が動いています。
この動きは考えているということであって、
「やらしいことを考えてるんでしょ」といわれますが、
内容とは一致しないようです。
あ、もしかしたら、
やらしいことを考えてるから大きく脳が活動しているのかも?!

あ、ここで中ザワさんからチェックが入りました。
「考えてないときも脳波は出る」だそうです。
・・・オー!ノォーッ!

いずれにせよ、当時はいろんな波形を出すために修行しました。
今後も他のいろいろな波形をお見せしていきます。

「脳波日記」 中ザワヒデキ 脳波ドローイング 2006 2006年10月現在の中ザワヒデキについて(インタビュー) 「脳波ドローイング」手記


2007年01月24日

4760個の変曲線のある単一曲線

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より見やすいデータはこちら

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4760個の変曲線のある単一曲線
1997
61×710cm
デジタルプリント、紙
発表歴:1997 個展 ギャラリーNWハウス(東京)、1998 「Inter@ction JAPON」レオナルド ダ・ヴィンチ大学(パリ)、2006 「脳波ドローイング」府中市美術館公開制作室
Courtesy Gallery Cellar

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「♪せんのかーぜになーってー」
テレビで聞こえた歌に、つい反応しました。
「せん?線といえば!!」
と思い出したのが、中ザワさんの単一曲線のシリーズです。

画像は展示風景で分かりにくいんですけど、
てゆうか
紙しか写ってませんが・・・
たんなる「曲線」です。

曲線といってしまえば簡単ですが、
そこは理数系がお得意な中ザワさんのこと、ひとひねりあります。
ちがった、4760回ひねってあるんだった。
すみま線。

ギャラリーNWハウスでの個展風景 ポートフォリオ


2007年01月23日

Project for BT 「SPRING」

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Project for BT 「SPRING」
[誌上発表作品]
「美術手帖」1990年4月号(vol.42/no.622)pp.198-201

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まったく藤田の個人的話題でごめんなさい。

今日1月23日は、入籍して一年目(パチパチ)。
去年の今日、雪が降ったあとに私は夫となる人と区役所に行き、
婚姻届という書類を出した記念すべき日です。

たった一年前ですが、
自分のライター仕事が少しずつ滑り出したものの、
相手は若いし、私どうなるのだろう、不安だわ、と思っていました。

一年経った今、私も偉くなったもので、
「美術手帖」にテキストが載るようになりました。
(「美術手帖」2月号買ってね!日比野克彦インタビューです)

そんな矢先、
中ザワさんから「はい」と渡されたのは、1990年の「美術手帖」。
「“美術手帖”づいてるな」と思って開いたら、
今の私にピッタリな作品です。

夫に持たせてパチリ(上部分)。
私が持ってパチリ(下部分)。

  <プロジェクト・フォー・BT>は
  アナタの俗物根情をくすぐる4ページです。
  中ザワヒデキは来月も
  やさしくアナタにほほえみかけます。

と書いてあります。
二人でにやり。
そんな個人的話で、作品紹介にならなくてごめんなさいね。


2007年01月22日

灰色絵画 #9 (シアン、マゼンタ、イエローによる)

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灰色絵画 #9 (シアン、マゼンタ、イエローによる)
2006
180×120cm
油性溶剤デジタルプリント、合成樹脂、アルミフレーム
発表歴:2006 「Gray Paintings」 Tower 49(アメリカ・ニューヨーク)、2006 「灰色絵画展示」府中市美術館
Courtesy Gallery Cellar

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昨日の作品で思い出した「灰色絵画」。
シアン、マゼンタ、イエローというか、
青、赤、黄の色を使っていたのは、25年も前からだったとはびっくりでした。

まんべんなく並んでいるさまは、気持ちがいいですよね。

1月2日に紹介した「灰色絵画 #10 (シアン、マゼンタ、イエローによる)」
とこの作品を見比べると、配列が異なります。
その違いが単純に面白いです。
その上、画面から遠ざかって見ると、もっと違ったものに見えますよ。
私には「#9」のほうが、マゼンタ(赤)がとりわけ濃く見えたりします。
皆さんにはどう見えるんでしょうか???

中ザワヒデキ 灰色絵画 2005 - 2006


2007年01月21日

BLUE SKY

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BLUE SKY
1982
9.3×9.6cm
油絵具、紙
発表歴:1982 千葉大学美術研究会展、2004 個展「中ザワヒデキの原点展: 1980年代アクリル絵画」ギャラリーセラー(名古屋)
個人蔵

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今日はセンター試験ですね。
受験生の皆さん、全力出せましたか?

私は久しぶりに空を見上げてました。
青く、高い、冬の空を見上げてました。
そして今日のような青い空が描かれた、この作品を選びました。

中ザワさんいわく
「これは僕が受験のころ描いたんだ。
 共通一次試験と次の試験の間に
 絵を描きたくなって絵具を取り出したんだ」
・・・この時期にぴったりな、微笑ましい話です。

よく見てみたら、
黒い大地の下に黄と赤が・・・。
あれ?
青・黄・赤?
どこかで聞いたことがある色づかい???
10代のころから変わってないんだなぁ〜。


2007年01月20日

Fauna Grotesque

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Fauna Grotesque
1987
22×22cm
アクリル絵具、紙
発表歴:1987 SYZYGYS「SYZYGYS」(12inchシングルレコードジャケット)、1988 個展「火星人ヨサラバ」ギャラリーアートワッズ、2004 個展「中ザワヒデキの原点展: 1980年代アクリル絵画」ギャラリーセラー(名古屋)
個人蔵

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去年夏、私は広島市現代美術館で
「可視幻想 山村浩二アニメーション+原画展」を見ました。
そのとき、山村さんの「頭山」を含め、
いくつか作品を流していたのですが、字幕を見て、
はっ!と息を飲みました。

音楽:SYZYGYS

「シジジーズ」と読みます。
女性二人のバンドです。

いつだったか、私は中ザワさんと「シジジーズ」のライブに行きました。
「シジジーズ」は結婚だか子育てだかで、10年ぶりくらいにライブをした、
という内容でした。
中ザワさんが
「大変だよね女性は・・・
 でも10年経ってもちゃんとやる、すごいことだし見習わなきゃね」
と言っていたのを覚えています。

そんな「シジジーズ」のレコード(CDじゃないのか!)ジャケットに
使われた中ザワさんの作品。
アルバムの中に収められている曲と同じタイトルのこの絵画作品は、
「シジジーズ」のアンニュイさが現れてるなって思います。

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シジジーズ(注)1987年に発売されたレコード「SYZYGYS」のジャケットに使われ、
現在、アルバム「Complete Studio Recordings」のジャケットにもなっています。
ポストカード


2007年01月19日

11の男

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11の男
1988
19.5×19.5cm
アクリル絵具、紙
発表歴:1988 個展「火星人ヨサラバ」ギャラリーアートワッズ(東京)、2004 個展「中ザワヒデキの原点展: 1980年代アクリル絵画」ギャラリーセラー(名古屋)
個人蔵

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ようやく週末ですね。
だいたい金曜日には、打ち合わせがあって浜松町に行くのですが、
時間も時間だと、サラリーマンのオッサンたちに出くわします。
仕事を終えて家路に急ぐ人、これから地方へ帰る人など・・・
改札の周りは大きい荷物を抱えて、訛りのある言葉を携帯に向かってしゃべってる、
そんなオッサンの集団がいるのですわ。
「男って大変よねー」
今日はそんな気持ちからか、なぜかこの作品が目に留まりました。
といっても、描かれている「男」は「裸」だったりします。

男の裸がこんなに描かれていると、
エロなんかじゃなくて、
「今日見た集団のオッサンがもし裸だったら」
とドリフ的想像をしてしまいます。
こんなにスマートじゃないでしょうけどね、あはは。

なんで中ザワさんがこの絵を描いたのか?
今日は中ザワさん、締め切りを過ぎた原稿に追われてるので、
今度また聞いてみようと思いました。

・・・・・

ポストカード(注/「作品(男)」になっているものです)


2007年01月18日

役者3昧

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役者3昧
1985
51.5×36.4cm
紙ボード、アクリル絵具、写植印画紙、クレヨン、鉛筆、色鉛筆、ボールペン
発表歴:1985 カセットブック「BICAN」掲載、1986 個展「初個展」ギャラリーアートワッズ(東京)、2004 個展「中ザワヒデキの原点展: 1980年代アクリル絵画」ギャラリーセラー(名古屋)
Courtesy Gallery Cellar

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中ザワさんの作品、と言ってもいろいろあるんだな。
毎日どれにしようか選んでいる藤田はつくづくそう思います。
今日紹介する「役者3昧」はマンガ形式。

発表歴にあるカセットブック「BICAN」というのは、
美缶編集部が出したカセットテープ+ビジュアル本だそう。
「カセットテープ」というところで“時代”を感じますが、
ビニールのパッケージに入って販売されていた、
ということが、ビニ本とか全盛期だったはずの“時代”を感じさせます。
(注/ビニ本というコトバをよく分かってない藤田は「イメージ」で使ってます)

とはいえ、
実際には中ザワさんが他数名と編集した自費出版本で、
大手書店等に置かれたらしい。

中ザワさんいわく
「僕はこれで写植の発注の仕方やデザインの仕方や
 印刷屋との付き合い方を習得した。」
・・・写植ってコトバも“時代”ですねー。

カセットには、中ザワさんの作曲した曲、
「耳から回虫」(←中ザワさんがやってたバンド)の曲
とかも収録されていたそうです。

いずれにせよ、
この「役者3昧」は、
ちょっとおセンチでブルー入った具合が、
冬のけだるいうす曇りの午後、
そして、
今日の藤田の気持ちにぴったりなので選んでみました。


2007年01月17日

壁の花

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壁の花
1989
29.3×36.4×13cm
木、アルミ、モーター、電池、ギア、スイッチ、アクリル絵の具
発表歴:1989 アートワークス展IV「百花繚乱」ギンザ・グラフィック・ギャラリー、2004個展「中ザワヒデキの原点展: 1980年代アクリル絵画」ギャラリーセラー(名古屋)
個人蔵

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中ザワさんの考え方に「二項対立」というものがあります。
相反しているものを比較する、という考え方です。
作品にも2つのものを並べるというものがあります。
この「壁の花」もそうなんじゃないかな、と思います。

これ、回転するんです。
だから電池が付いてます。

中ザワさんいわく
「工作が下手なため、すごい音がします。
 それに驚く鑑賞者がいっぱいいるほど」
だそうです。
音がする花だなんて・・・またまた面白いことする(笑)。

花が揺れているようだねとか、
壁に花って面白いですね、とか思う人もいるでしょうね。

エロおばさん藤田は
「赤と白・・・女と男か?」
と、つい思ってしまうのでした。いかんね。

アートワークス展IV「百花繚乱」(この中に中ザワさんの花が一本あるそうな)


2007年01月16日

三五目三五路の盤上布石絵画第一番

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三五目三五路の盤上布石絵画第一番
1999
77×77×36.5cm
碁石、塩ビフィルム、アクリル
発表歴:1999 個展 ギャラリーNWハウス(東京)、2000 「メディアセレクト2000」名古屋港・ガーデンふ頭20号倉庫、2001 「第六回北九州ビエンナーレ〜ことのはじまり」北九州市立美術館
Courtesy Gallery Cellar

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昔、友だちが行っていた絵画教室の近くに
「せき」という食事処がありました。
「毎週そこに行くのが楽しみだ」と言う友人に、
「せきってなに?」と私は問いました。
「碁でもう次の手がない手のことらしいよ」と友人。
初めて「せき」という言葉を知ったのでした。

それから数年経ち、
私は再び「せき」という言葉を耳にしました。
それが今日の作品「三五目三五路の盤上布石絵画第一番」です。
中ザワさんらしく、配列や順番を意識した結果、こういった形になったのでしょう。

私は碁をたしなみませんが、
「せき」が、黒と白の碁石が囲みあい、共存する状態、と知って、
不幸かもしれないけど、良い緊張のある状態だと思いました。
人生にもこういう場面はあるわよね。
碁石の埋まった碁盤上に、自分を重ねてしまうのでした。
そして、友だちが行っていた食事処「せき」の名前がつけられた理由を想いました。

ポートフォリオ  play GO!サイト


2007年01月15日

竹橋エレヂイ

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竹橋エレヂイ
1983
36.4cm×51.5cm
アクリル絵具、クレヨン、ボールペン、色鉛筆、針金、包装テープ、紙シール、化学繊維ネット、ジェルメディウム、紙ボード、ボール紙、トレーシングペーパー他
発表歴:1985 「はるのしんさく」茅場町くるくる、1986 個展「初個展」ギャラリーアートワッズ(東京)、2000 個展 佐野画廊(香川)、2001 病院ギャラリー(愛媛)
受賞歴:1984 第1回クレセントコンペ奨励賞
Courtesy Gallery Cellar

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(以下、藤田からのメールに中ザワさんが返信したものより)

> 先日、中ザワさんと竹橋の東京国立近代美術館に行きました。
> 閉館間際の夕暮れ時、中ザワさんはぼそっと「竹橋エレヂイ」とつぶ
> やきました。
> そう、こんな光景でしたね。
>
> 赤い色がとても印象的です。
> 夕焼けに染まる真っ赤な空。
> 皇居のお堀。
> 女のうつろな顔。
> 遠くに見える飛行船。
> 夕焼けに染まる魚。
> 倒れそうな杭。
>
> 真っ赤な色にだまされてしまいそうだけど、
> 本当は憂鬱で退屈な世界なのです、おそらく。
>
> 私の偏見ですが、竹橋という場所はぱっとしません。


そりゃおめえの偏見だろっ


> 新聞社と美術館があるT字路以外、特になにもないし。
> なんのために行くのかというとその2つの場所にしか行くとこないし。


いまの藤田さんにとってはそうかもしれないが
千葉の大学に入りたての若造には、東京にわざわざ出て、
アートに接する楽しい場所でした。
いやいや、神奈川の大船の高校生のときから、東京に
わざわざ出て、美術なるものに接する楽しい場所でした。
だから僕にとってはとてもぱっとした場所でしたよ


> だからこの哀愁がピッタリなんだと思います。
> 切ないですね・・・。


哀愁 は 夕焼けに対するもので、
つまりロマンチックな夕焼けのエレジーの
つもりでした。


2007年01月14日

大気

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大気
1981
72.7×91cm
油彩、キャンバス
発表歴:1981 栄光学園高等学校創立記念祭(神奈川)
Courtesy Gallery Cellar

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藤田「中ザワさん、今日は“プレ期”のものを紹介したいんですけど」

中ザワ「じゃ、これにしよう、《大気》」

藤田「わっ、これ、いつの作品ですか?」

中ザワ「高校3年生のときだよ。毎年5月に“創立記念祭”というのがあって、
    美術部だった僕が出した作品なんだ」

藤田「そうりつきねんさい?」

中ザワ「文化祭みたいなものだね」

藤田「なんでこんなに汚い色なんですか」

中ザワ「よく見てごらん。実は、この作品の下には別の絵があるんだよ」

藤田(じーっと眺める)

中ザワ「“全日本学生美術展”で入選した作品だったんだけど、
    手元に戻ってきてから手直しを始めたら、収拾がつかなくなってね」

藤田「それで塗りつぶしたってわけですか」

中ザワ「うん。油絵だったから混ぜると灰色になったんだ。
    造形化して、いい作品になったよね(笑)」

藤田(ひきつられて笑う)

中ザワ「当時の僕は、ニコラ・ド・スタール(フランスの画家、1914〜1955)、
    ピカソ、マチス、梅原龍三郎くらいしか知らなくてね。
    この作品を見た美術の先生に『ロスコを知ってるか』って言われて、
    知らなかったんだよね、あははは」

藤田「ああ、ロスコねー、でも灰色だし。
   中ザワさん史的に“プレ期”なら、“神奈川県青年美術展”で準大賞を
   取った作品を紹介すべきだったのでは?なんで今日はこの作品なんですか」

中ザワ「これこそ『灰色絵画』だからだよ!」

藤田「はい、はい!」


2007年01月13日

KIDS BOX

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(画像は発売当時のもので、現在のものと異なります)

・・・・・

KIDS BOX
[インタラクティブアニメーション]
1995
アスク講談社(現 株式会社アスク)発行
CD-ROM
受賞歴:1995 95年度マルチメディアグランプリMMAアーティスト賞、1995 インターナショナルデジタルメディアアワーズベストCD-ROM賞/ベストインターフェイス賞
(C) ASK/TX/SOFTX 1995

・・・・・

今日の「中ザワヒデキ音楽作品集発売祝賀ライブ」に来てくださった皆さん、
ありがとうございました。

今日のライブで素敵なシンセサイザーを聞かせてくれた松前公高さん。
中ザワさんの作品の中で、松前さんが音楽を担当したものがあります。
それがこの「キッズボックス」です。

さあ、私・藤田千彩がやってみるとします!
パソコンソフトの形式を取る作品のため、
パッケージを開けて、パソコンにCD-ROMを入れます・・・か、かわいい!
ひっくり返されたおもちゃ箱、中身はアイコンが43個。
どれもやってみたい気持ちがそそられる中、「ふうせんポヨヨン」をクリック。
すると、ふうせんが空へ舞い上がります
ぼよよよよぉぉん、という音が切ない!
クリックする位置で風船の色、影の色、音すべてが異なります。
続いてどれにしようかな・・・“カエル”とか“鼻毛”とか・・・
というように、たくさんのアイコンが並びます。

中ザワさんが「画期的で斬新なアート、かつ、
実験的な試みをたくさん盛り込んだインタラクティブ作品である」
と言うように、私たち観客はマウスでクリックやドラッグすることで、
中ザワさんの作品の中に自分がいるような気持ちになってしまいますよ!
面白いので、ぜひお試しあれ!!

・・・・・

※当初はMac版もありましたが、いまはWin版のみの販売です。
アスクオンライン AMAZON 中ザワヒデキ関連商品


2007年01月12日

三声の五十音インヴェンション第一曲

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三声の五十音インヴェンション第一曲
[音楽作品]
2002
発表歴:2002 下北沢ARTIST(赤刎泰子による、MTRを用いたリアルタイム一人多重録音ライブ)、2006 渋谷アップリンクファクトリー(池田拓実、鈴木悦久、安野太郎による、三名三声)
収録:2006 CD「中ザワヒデキ音楽作品集」ナヤ・レコーズ

・・・・・

明日1月13日(土)は、 「中ザワヒデキ音楽作品集発売祝賀ライブ」が開催ですね!

「そそのそららら そそのそり」
・・・で始まるこの作品。
去年発売されたCD「中ザワヒデキ音楽作品集」のジャケットにも、
この作品の“楽譜”が使われています。

「インヴェンション」とは、音楽用語です。
多くの人に親しまれている「バッハのインヴェンション」でもご存知の方もいるのではないでしょうか。

中ザワさんは音楽にもかなり造詣が深く、
カノンやモノフォニーといった音楽作品だけでなく、
自身のバカCGやアニメーションにも音をつけるなど、
いままで多くの作曲を手掛けてきました。

CDの説明によると「五十音を用いた方法音楽作品」のシリーズとのこと。

この作品には、ドレミのようなメロディはありません。
「そそそのららら」の「そ」は、「ソ」や「ラ」ではありません。
楽譜になった文字は、男声3人が“詩”を読むように、
7文字(ex/そそのそららら)+5文字(ex/そそのそり)のリズムにあわせ、
4文字(ex/そ の ら ら)+3文字(ex/そ の り)、
あるいは最後の1文字「り」を同時に発しています。

日本語の“かな”1文字ずつが生み出す、
こだまのような連なり、おしゃべりのような重なり。
旋律があるわけでも、意味があるわけでもないのに、
とても心地よく感じるのはなぜでしょうか。

2007年01月11日

二三字三九行の文字座標型絵画第三番

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二三字三九行の文字座標型絵画第三番
1999
97×162×30cm
塩ビフィルム、ライトボックス(注)
撮影:黒川未来夫
発表歴:1999 個展 ギャラリーNWハウス(東京)、2000 「メディアセレクト2000」名古屋港・ガーデンふ頭20号倉庫(注)
Courtesy Gallery Cellar(注)

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「文字座標型絵画」は、第一番から第六番まであります。(2007年1月現在)
いずれも、文字が色彩として、規則にのっとって配置されています。

今回は、中でも分かりやすい「第三番」を紹介します。
見慣れない漢字も並びますが、
それらは「さんずい」と「さかなへん」の漢字です。

中ザワさんは文字を配列するとき、
第一番や第二番と同じ文字の大きさになるよう、
M100号の画面を23字×39字に分割しました。
そのマス目に文字を並べていきます。

「素数(1とその数以外に約数がない正の整数)を空白」
というルールを決めました。
つまり、日本語の文章のように右上から、2、3、5、7・・・の目を空欄にしています。

右上から左上にかけての横一列に、
「さんずい」の文字を、
JISコード表の番号の大きい順(画数が多い順)に漢字を並べました。
画数が多いと、遠くから見ると濃く見え、画数が少ないと、薄く見えます。
上から下にかけて、濃淡があるように感じるわけです。

縦も右上から、同じくJISコード表から「さかなへん」の漢字を入れました。
「さかなへん」は、「さんずい」に比べ、数が少ないため、
中ザワさんは、画数の多い順に入れたあとに、逆回転で入れ、
さらにまた画数の多い順に入れました。
すると!うまい具合に「魚」という字で終わったそうです!
ギョッ?うぉっ!・・・ですね。

そして、ひらがなを50音図の表から、
規則的に、将棋の「桂馬」の飛び方の要領で入れていきました。

「さんずい」と「さかなへん」ということで、
まるで海を描いたような“具象絵画”なのです。
ちなみに海=marineなので、サイズも100号・・・。

きらめく海のように見えませんか?

ポートフォリオ

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(注)
上記のサイズ、素材が異なる《二三字三九行の文字座標型絵画第三番》が、
他2点あります。

・66.2cm×109.7cm×22cm
 塩ビフィルム、ライトボックス
 ギャラリーNWハウス蔵

・92×162cm
 チバクローム
 北九州市立美術館蔵


2007年01月10日

スイカワリ(大ボケツ第一番)

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スイカワリ(大ボケツ第一番)
1990
369×517ピクセル、93.5×130.7cm
紙にデジタルプリント、スチレンパネル、カンバス
撮影:黒川未来夫
発表歴:1990 個展「大ボケツ」HBギャラリー(東京)、2000 個展 佐野画廊(香川)、2001 病院ギャラリー(愛媛)、2005 個展「中ザワヒデキの展開展: 1990年から96年までのバカCG」ギャラリーセラー(名古屋)
Courtesy Gallery Cellar

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中ザワさんの記念すべき「バカCG」作品の第一作目。

当時の中ザワさんは、
「近代美術史テキスト」を書き終え、イラストレーターとして活動を始めようとしていた。
「CGを勉強したい」
と思っていたところに、突然舞い込んだ「2ヵ月後に個展」の話。
あわてて(当時はかなり珍しかった)パソコンを買い込み、CGで作品を作り始めた。

イラストレーションのギャラリーであるHBギャラリーで行われたのは、
2ヶ月連続の「PLACE」という企画展で、
8人の作家を紹介するというものだった。
中ザワさんはその第一回目の展示をすることになり、
展覧会のパンフレット用の図版を、モノクロで作ることになった。
(ちなみにそれをバカでかく出力し、出品作としたのが、上の画像である)

それまでの中ザワさんは、色を多用したアクリル絵画を描いており、
モノクロにためらいを感じた、と言う。
しかし作業を始めていくうち、
“モノクロ”も楽しい、画面の“ギザギザ”が面白いと思うようになっていった。

 ちなみに、この“モノクロ”“ギザギザ”は
 その後の中ザワ芸術に影響を与えている。
 
ゆえにこの作品をはじめ、
大ボケツ第二番も第三番も、粗いドットのようなタッチが特徴である。
わざと、と言うより、
コンピュータゆえの面白さ、と捉えていただければ幸い。

中ザワさんは
「(1990年1月に行われたため)真冬の展覧会なのに、真夏の作品です」
と言っている。
これが「大ボケツ」ってことか。

藤田個人的に思うのは、水着がハイレグである、ということ。
鈴木保奈美あたりの時代なんでしょうか。ダサい。
これまた時代(当時)を表現して、後(いま)見ると「大ボケツ」だね。


2007年01月09日

方法絵画、方法詩、方法音楽(方法主義宣言)

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方法絵画、方法詩、方法音楽(方法主義宣言)
by中ザワヒデキ(美術家)、松井茂(詩人)、足立智美(音楽家)
2000

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中ザワさんの美術家人生を語る上で、
決してはずしてはいけないこと・・・それが「方法」です。
「方法」は、美術家の中ザワヒデキ、詩人の松井茂、音楽家の足立智美の
3人によって、2000年に始められました。

この「方法絵画、方法詩、方法音楽(方法主義宣言)」は、
年賀状で少なくとも500通以上、Eメールで少なくとも1000通以上、
2000年1月1日に発送されました(と詩誌「妃」に書いてあります)。
発送当時、年賀状には「方法主義宣言」の文字はないですが、
Eメールには「方法絵画、方法詩、方法音楽(方法主義宣言)」と書かれていました。
2000年1月1日当時は想定されなかったのですが、
その後、「方法主義第二宣言」など、続いて発表していくものとの違いがあるため、
いまは「方法主義第一宣言」という名前で呼ばれています。

当時の中ザワさんは36歳。
美術家として新しい活動をはじめるには、きっと勇気も必要だったはず。
美術以外のジャンルの人との活動をすることも、きっと決断があったはず。
私は現在32歳ですが、中ザワさんがどうしてこんなことをはじめたのか、気になります。
詩誌「妃」には、中ザワさんが詩人の松井さんとランチをともにしたときに、
方法の活動をしようと思った、という当時の状況が書いてあります。

ところで、難しい言い回しの「方法主義第一宣言」は分かりにくいですね。

「同語反復」とは、「美術は美術である」というように、同じ言葉を繰り返す言い方。
内容には意味がないのですが、論理はあります。
快楽を求める考え方でないので、方法主義は禁欲主義です。
つまり、美術にとっての快楽である「色」を使いません。
その代わりに、すでに昨日などにも紹介していますが、
中ザワさんの当時の作品を見ると、文字、お金など「違う物質」で作られています。
快楽がないので、しかたなくツマラナイものになる、
というか、ツマラナイものを作るだけになる。
という論理なので、単調だったり、パターンになっている作品になります。

・・・ということを、
2000年の元旦に宣言された「方法主義」。
途中で音楽家が足立さんから三輪眞弘さんに代わり、
活動自体は2004年12月31日で終わっています。

バブル崩壊後、不況と言われ続けた時代に生まれた運動らしいと思います。
しかし、この5年間の活動で発表した作品群は、数が多く、本当に退屈。
中ザワさんの美術家人生の一時期やイメージを形づくった活動でもあり、
もちろん中ザワさん以外の詩人、音楽家の当時およびその後の活動にも
着目すべきことは多いです。
私個人は、その退屈で単調なものを、とても面白く感じていました。
ジャンルを横断しようとする試みも、うらやましく見えたものです。

1月8日に紹介した「903個の回文的造語から成る文章第一番」
朝日新聞あるいは1月6日7日に紹介した「金額」のシリーズなどもそうですし、
今後も小出しに「方法」時代の作品は紹介していきます。
そのたび、この「方法主義第一宣言」を読み直してもらえればと思います。

方法 詩誌「妃」


2007年01月08日

903個の回文的造語から成る文章第一番

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より見やすいデータ(pdf)はこちら

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903個の回文的造語から成る文章第一番
2003
51.5×103inch(130.8×261.6cm)(注)
発表歴:2003 ISCPオープンスタジオ展(ニューヨーク)(注)
ISCPでのインスタレーション(現存せず)(注)

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ん?
一見なにを書いているのかよく分かりませんね。
これは「しんぶんし」のような、上から読んでも下から読んでも読むことが出来る、
回文ならぬ回語を並べています。

中ザワさんは、意味を求めるというよりも、一定のルールでこの回語を作ることを楽しんでいるようです。

ええっと・・・と苦しそうに読みあげてしまったあなた!
イヴェントでの、音声ファイルも楽しめます。
イミを持たせてないようですが、コトバを楽しく操っている、という感じでもあります。
何語か限定できない単語なのに、ドイツ語のように聞こえるのは私だけかしら?

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(注)
現存しないISCPでのインスタレーション展示ののち、
中ザワさんは新たにタブロー作品(大&小)を制作しています。

[大]69.8×139.5cm
  発表歴:2004 個展「文章」ギャラリーセラー(名古屋)、2006「DOMANI・明日」損保ジャパン東郷青児美術館(東京)
  Courtesy Gallery Cellar

[小]31.2×62.4cm
  個人蔵

中ザワヒデキポートフォリオ 903個の回文的造語から成る文章第一番

2007年01月07日

308620枚の硬貨から成る389924円 (金額第三五番)

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308620枚の硬貨から成る389924円 (金額第三五番)
2004
ベイスギャラリーでの展示
発表歴:2004「財飾兼備−ART&MONEY」ベイスギャラリー(東京)

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皆さん、朝日新聞日曜版「目の冒険」は見ていただけましたか?
この作品「308620枚の硬貨から成る389924円 (金額第三五番)」も、
紙面に掲載されています。

一見、ごみを壁ぎわに掃いて寄せたように見えますが(←失礼)、
大量の硬貨が床に置かれている“贅沢”な作品です。

新聞によると(つまり中ザワさんいわく)、
「18世紀にオイラーが発見した友愛数」をもとにした作品とのこと。
「友愛数(ゆうあいすう)」については、紙面で学んでもらうとして、
数学をアートにしちゃうなんて、知的だわ!と思う私。
「目で見るだけでは『?』でも脳で視れば『!』なアート」の通り、
今までよく分からなかったことがこういう形で理解できる!
っていうの面白いなぁー!
と、つくづく感じる今日の新聞記事でした。

ちなみに、この作品は、
千葉成夫著「未生の日本美術史」でも紹介されています。
ぜひご高覧くださいませ。

中ザワヒデキポートフォリオ


2007年01月06日

220枚の硬貨から成る284円 (金額第一二番)

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220枚の硬貨から成る284円 (金額第一二番)
2001
9.5×13×2cm
硬貨、ポリエチレン袋
撮影:高木茂樹
発表歴:2001 個展「金額」ギャラリーセラー(名古屋)、2001 NCAF(名古屋)、2001 「ダイアローグ2001」カナダ大使館ギャラリー(東京)
個人蔵

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突然ですが、お知らせです。
朝日新聞日曜版の明日発売分より、
中ザワヒデキが「目の冒険」というコーナーで
「脳で視(み)るアート」というタイトルの連載がはじまります。

記念すべき第一回は・・・
中ザワさんの作品が2つ載るそうです。
今日は「220枚の硬貨から成る284円 (金額第一二番)」を紹介します。

タイトルにもあるとおり、ポリエチレンの袋に小銭が詰まってます。
昔これ見たとき「こんな枕で寝てみたい」って言ってた人がいましたが(笑)。

220とか284とか意味があるんでしょうか?
・・・ええ、あります。
そこは理数系の中ザワさんのこと、
「ピタゴラスいわく」という説明でこの作品を解説!しているのが
明日の朝日新聞日曜版「目の冒険」です。

ぜひチェックしてみてね!

中ザワヒデキポートフォリオ


2007年01月05日

縦三七横七五の異種画素配置第一番

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より見やすいデータはこちら

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縦三七横七五の異種画素配置第一番
2000
81×162cm
塩ビフィルム、アクリルパネル
撮影:黒川未来夫
発表歴:2000 個展 佐野画廊(香川)、2001 病院ギャラリー(愛媛)
佐野画廊蔵

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「たてさんじゅうなな よこななじゅうご の いしゅがそはいち だいいちばん」
と読みます。

中ザワさんが2000年から2004年までしていた「方法」の活動。
「方法」の記念すべき第一回目の機関紙(といってもメール)に
この作品について、以下のような説明があります。

 「快楽に直結する色彩の画素をモノクロのJIS記号に置換した色彩絵画。
  木・火・土・金・水いずれかの部首を持つ漢字が形づくる線と、
  黒または白の碁石が形づくる線は、
  囲碁では「セキ」と呼ばれる拮抗状態となっている。
  ちなみに、囲碁は点を連ねて線として面を囲う視覚抽象ゲーム。
  仮名は倒立させることもある。」

「ほほー」と言ったアナタ、すばらしい。
そうじゃないアナタも私も、実はこれ、難しいことではないらしい。
さ、何度もこの文章を読み直して、クリックして拡大画像で確認してください。
あるいは、パソコンから遠ざかって見るのも、左右対称っぽく&細胞みたいで面白いですよ。
ぜひいろんな見方で楽しんでみてください!

中ザワヒデキポートフォリオ


2007年01月04日

火星人ヨサラバ(1)

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火星人ヨサラバ(1)
1988
72.8×103cm
アクリル、紙、パネル
発表歴:1988 個展「火星人ヨサラバ」ギャラリーアートワッズ(東京)、2004 個展「中ザワヒデキの原点展:1980年代アクリル絵画」ギャラリーセラー(名古屋)
受賞歴:1989 JACA入選
個人蔵

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中ザワヒデキが「中ザワヒデキ」と名前を使い始めた時代
・・・それが本人いわく「第一期」と呼ぶ、1983年から1989年のことです。
当時小学生か中学生くらいだった私には、
まったく世界が違うため“想像”なのですけど、
日比野克彦が出てきて〜
イラストレーションや商業美術といわれるものが流行というか勢力があった
・・・そんな時代だったと察します。

時代の影響、ポップな感覚はこの作品にも見え隠れしています。

連続する人々。
→このリズミカルな配置は、テクノ好きな中ザワさんらしいです。

赤系茶と青、そしてピンク、ときどき黄の色使い。
→それぞれは地味な色ですが、なぜか魅力的。

エスカレーターによる遠近法。
→今でこそ、長〜いエスカレーターは地下鉄や空港で見かけますが、
 当時はどうだったのでしょうか。
 (中ザワさん「これは新御茶ノ水駅のエスカレーターですよ」)
 歩かない人は左に立つルールとか、まだ確立されていないようです。

人々の表情がある。
→最近よく見かける絵画に出てくる人は表情がないですよね、、、。

手前の人の向きが変だ。
→きっとこれ本人でしょ?

と、
バブルの80年代、楽しい日々を送っていた、
そんな中ザワさんの生活を感じさせてくれます。
今の時代にはないなぁ、こういう感覚!うらやましい!


2007年01月03日

出現絵画

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(この画像はアニメーション作品の一部分です)

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出現絵画
[インタラクティブアニメーション]
1995
約2分、480×640ピクセル
マッキントッシュクラシック対応アプリケーション
発表歴:1995 CD-ROMマガジンINTRO No.6、2006 「中ザワヒデキ音楽作品展」渋谷UPLINK FACTORY、2006 「ポストデジグラフィ」東京都写真美術館、2006 「animtion tapes」愛知県芸術文化センター、2006 「animtion tapes」直島カフェまるや
Courtesy Gallery Cellar

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TIS(東京イラストレーターズソサエティ)に出品した作品の、
途中経過を50コマ近く保存し、それをつなげたアニメーションです。
この画像は、その途中の部分です。
このアニメーションには音も入っており、中ザワさん本人作です。
本来、中ザワさんはマウスをクリックすることを目的とした、
クリックするアニメーション=インタラクティブアニメーション
をたくさん作っています。
「出現絵画」は、最後の部分でしかクリックしないつくりになっています。

去年、渋谷UPLINK FACTORYであった「中ザワヒデキ音楽作品展」で、
私はこの作品を初めて目にしました。
アニメーションは、上映会企画などしている関係でよく見ていたのですが、
パソコンがまだ珍しかったころ?のなんとも言えない手描き感、
ゲームっぽい面白さ、出現絵画というタイトル通りの絵を描き重ねていく行為、
センスあるダサさ、最後がパソコンの画面で“ファイル”→“終了”で終わること、
・・・すべてに「すげえもん見ちゃった」と思いました。

残念なのは、こうしたアニメーションは、
今では「古い形式」のMacでしか動かないということ。
Win愛好者の私がMacを手に入れたからと言って見れるとは限りません。
こういう機械の問題というのは、中ザワさんの制作において、
しょっちゅう悩みの種のようです。


2007年01月02日

灰色絵画 #10 (シアン、マゼンタ、イエローによる)

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灰色絵画 #10 (シアン、マゼンタ、イエローによる)
2006
180×120cm
油性溶剤デジタルプリント、合成樹脂、アルミフレーム
発表歴:2006 「Gray Paintings」 Tower 49(アメリカ・ニューヨーク)、2006 「灰色絵画展示」府中市美術館
Courtesy Gallery Cellar

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「灰色絵画」は#1〜#10あります。
今回は、年末における個人的入れ込みから「#10」です。

他の番号のものでしたが、
最初に「灰色絵画」を見たのは2006年の「DOMANI・明日展」でした。

「方法」の活動を終えた中ザワさんは、次にどういう作品を作るんだろう?
という個人的興味だけで見に行ったのです。
シアン、マゼンタ、イエローという鮮やかな色、
キャンバスではない支持体、そして非常に強い照明。
とにかく「すごいキラキラ!目にしみる!」と思いました。。。
自分自身が疲れていたのもあります。
そのあまり経験したことがない“まばゆさ”に目を奪われ、
しばらくぼーっと眺めていました。

その後
府中市美術館で再度見ました。
この「#10」はあまり整理整頓されてない配列で、
それなりに好きですよ、私は。
皆さんはどうですか?

中ザワヒデキ 灰色絵画 2005 - 2006


2007年01月01日

脳波ドローイング第1番 (2006年11月4日 第1回パフォーマンスの1)

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脳波ドローイング第1番 (2006年11月4日 第1回パフォーマンスの1)
2006
24.5×300.0 cm
インク、紙
発表歴:2006 中ザワヒデキ ライブ パフォーマンス 「脳波ドローイング」 (公開制作36)府中市美術館
Courtesy Gallery Cellar

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去年秋に制作を手伝った作品です。

脳波測定の講習、中ザワさんに脳波計を取り付ける、ドローイング展示など、
脳波どっぷりだったですね。

このドローイングを描くために、パフォーマンスという形式で制作しました。

他人の前で見せる、というパフォーマンス。
その前に、
脳波計の取り付け、どうやったらいいドローイングになるか、
どうやったら見せるパフォーマンスになるか・・・
2週間みっちり修行したあの日々はきっと忘れられないことでしょう。

私もパフォーマーではないので
(もっと言えば人の前に立つなんてあまりしたことがない)、
いまでも「これから脳波ドローイング第1番を始めます」というセリフを
何度も練習したことを思い出します。

こうして出来上がった「脳波ドローイング第1番」なのです。

「脳波日記」 中ザワヒデキ 脳波ドローイング 2006 2006年10月現在の中ザワヒデキについて(インタビュー) 「脳波ドローイング」手記


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