作品の導入




149101枚の硬貨から成る353100円(金額第二三番)
353100 yen which consists of 149101 coins (Money amount No. 23)

 京都芸術センターの展示では、畳の上に直接1円玉、5円玉、10円玉等日本
の硬貨を14万9千101枚並べています。総額は35万3千100円となりま
す。並べ方は簡単で、1円から100円に向かって数え上げているだけです。1
円は1円玉1個、2円は1円玉2個というふうに硬貨を順に並べるわけですが、
5円は5円玉1個と1円玉5個の2通りがあり、2通りとも並べます。このよう
に何通りもある金額はそのすべての組合せを並べていくと、99円までで約33
畳分に広がります(たとえば50円の組合せは37通り、99円の組合せは
140通りもあるのです)。このやり方で、最初に100円玉が1枚出てきたと
ころで作品を完成としたところ、タイトルの通りとなりました。ちなみに本作の
設置では大勢のボランティアさんに多大にお世話になりました。5日間にわたる
作業をとても楽しんでくれたのが作者として嬉しかったです。
 この作品は京都での展覧終了後、名古屋のギャラリーセラーで展示します。名
古屋では規則的には並べずに、そのまま雑然と置くだけです。展示方法が全然異
なり、見た目もだいぶ違うはずですが、同一の作品です。
 なお本作は「金額」シリーズの23作目にあたり、現金をアクリルケースやビ
ニル袋に入れたりせずに剥き出しに展示する初めてのケースとなっています。

<口上>
私は文字や碁石や硬貨を色彩ドットの代わりに使用している。色彩ドットは、ヴ
ェネツィア派絵画やスーラの点描やビットマップCGにおいて、絵画の本質とな
っている。文字や碁石や硬貨は還元の果ての究極のドットだ。それら「記号」は、
実際の赤や青といった感覚生理を捨象した、論理的色彩ドットなのである。方法
絵画と自称している。




180個の回文数から成る集合(集合第三番)
A set which consists of 180 palindromic numbers (Set No. 3) 

{ 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 11, 22, 33, 44, 55, 66, 77, 88, 99, 101, 
121, 212, 232, 323, 343, 434, 454, 545, 565, 656, 676, 767, 787, 878, 
898, 989, 1001, 1221, 2112, 2332, 3223, 3443, 4334, 4554, 5445, 5665, 
6556, 6776, 7667, 7887, 8778, 8998, 9889, 12321, 21012, 23432, 32123, 
34543, 43234, 45654, 54345, 56765, 65456, 67876, 76567, 78987, 87678, 
98789, 123321, 210012, 234432, 321123, 345543, 432234, 456654, 543345, 
567765, 654456, 678876, 765567, 789987, 876678, 987789, 1234321, 
2345432, 3210123, 3456543, 4321234, 4567654, 5432345, 5678765, 6543456, 
6789876, 7654567, 8765678, 9876789, 12344321, 23455432, 3210123, 
34566543, 43211234, 45677654, 54322345, 56788765, 65433456, 67899876, 
76544567, 87655678, 98766789, 123454321, 234565432, 345676543, 
432101234, 456787654, 543212345, 567898765, 654323456, 765434567, 
876545678, 987656789, 1234554321, 2345665432, 3456776543, 4321001234, 
4567887654, 5432112345, 5678998765, 6543223456, 7654334567, 8765445678, 
9876556789, 12345654321, 23456765432, 34567876543, 45678987654, 
54321012345, 65432123456, 76543234567, 87654345678, 98765456789, 
123456654321, 234567765432, 345678876543, 456789987654, 543210012345, 
654321123456, 765432234567, 876543345678, 987654456789, 1234567654321, 
23456787654321, 3456789876543, 6543210123456, 7654321234567, 
8765432345678, 9876543456789, 12345677654321, 23456788765432, 
34567899876543, 65432100123456, 76543211234567, 87654322345678, 
98765433456789, 123456787654321, 234567898765432, 765432101234567, 
876543212345678, 987654323456789, 1234567887654321, 2345678998765432, 
7654321001234567, 8765432112345678, 9876543223456789, 12345678987654321, 
87654321012345678, 98765432123456789, 123456789987654321, 
876543210012345678, 98765432123456789, 9876543210123456789, 
98765432100123456789 }

 上記の「集合」の作品は今回の展示には出品していません。Eメール機関誌
「方法」の第13号(英語化した最新号)で、誌上発表した作品です。しかしな
がら、3月24日に京都芸術センターで行われる三輪眞弘+中ザワヒデキ「方法
音楽コンサート」で、この作品と類似の規則を使ったモノフォニーの新作を発表
しようと考えています。上記はよく見ていただくとすぐおわかりのように、山型
や谷型をした左右対称形の数を全部集めたものですが、私は音楽のメロディでも
同様のことをしようと考えています。上記の数は10進法にもとづいていますが、
音楽では12音にもとづいた構成に変更します。私自身、どんな風に聴こえる作
品が出来上がるのか、興味津々です。
 ちなみに、昨年末に刊行した機関誌「方法」第12号にも「集合」の作品を誌
上発表しています。そちらも簡単な規則で自然数を集めたものですが、そちらと
類似のモノフォニー作品も今回制作発表予定です。

<口上>
この集合を作成するにあたって、私は単純な規則を用いて「12321」のよう
な回文数を180個抽出した。これは数の集積であり、またこれらの数は互いに
異なってもいる。ここで、各々の数が色彩の筆触であると考えてみてほしい。赤
や青のような実際の生理学的色彩を欠いているにもかかわらず、ある種の論理的
色彩感覚を、あなたは想像できるだろうか?


なおEメール機関誌「方法」は http://aloalo.co.jp/nakazawa/method/ からも
ご覧になれます。購読申込は nakazawa@aloalo.co.jp 宛にお願いします(無料)。
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